研究課題/領域番号 |
23330004
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
北野 かほる 駒澤大学, 法学部, 教授 (90153105)
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研究分担者 |
鶴島 博和 熊本大学, 教育学部, 教授 (20188642)
田口 正樹 北海道大学, 法学政治学研究科, 教授 (20206931)
西村 安博 同志社大学, 法学部, 教授 (90274414)
皆川 卓 山梨大学, 教育人間科学部, 准教授 (90456492)
佐藤 猛 秋田大学, 教育文化学部, 講師 (30512769)
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キーワード | 紛争解決 / 裁判 / 裁判外 / 公証力 |
研究概要 |
I「裁判」と「裁判外」の分離の過程の解明 各自が研究対象とする時代・地域について、紛争解決の具体的事例を抽出し、そこに見られる紛争解決機構認識を析出した。可能な場合は、紛争解決基準(~規範)の一般性の有無についても分析した。 そこから、中世における「裁判」と「裁判外」認識を見るためには、史料の残存状況がかなり重要な影響を持ってしまい、残存史料から「裁判外」の紛争解決類型の存在を強く推定できる場合と、その存在は推定できるものの、「裁判」の影に隠れて見えにくい場合があることが判明した。ただし、残存史料は間欠的で、網羅的であるとは言えないから、後者の場合、実態として「裁判外」紛争解決の比率が低かったとは言えない。裁判外紛争解決がどの程度類型化されているかを見るうえで、史料状況が相対的に大きな意味を持つことがわかった。 II 裁判の制度化・原則化に対応する紛争解決効と公証力の分離もしくは乖離の過程の解明中世のみならず近世に入っても、裁判の制度化・原則化の程度は地域により大きな開きがある。これに対応して、紛争解決効の認識(実態との対応は検証不能であることが多いが、理論上の紛争解決効と実際上の紛争解決効の乖離はいつの時代にもあると推定できるので、紛争解決効についての考察は、事実としての結末ではなく、あり得べき効力の認識から探ることが適切である)が、当事者の紛争解決案履行に向けての事実上の各種強制に依存するのか、それとも、すでに、制度それ自体が理論上紛争解決効を持つとみなされていたのかについて、より詳細な分析が必要であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度であるため、現状確認のほか、今後の分析のための資料収集に力点を置いた。代表者・分担者ともに、最低1回の資料収集・調査旅行を実施できた。 合宿研究会および研究会(計2回)の実施により、比較を元にしたそれぞれのフィールドでの分析の現状を共有でき、そこから、今後の分析に応用できそうな知見・手法を獲得することができた。
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今後の研究の推進方策 |
「裁判」の原則化には、時代による差異よりも地域による差異が大きいことが判明してきたため、副次的課題として、各地域の各時点で、とりあえず当時の観念でも「裁判」であったものの累計的特徴の分析をより深化させ、有効な比較の軸を探る必要があることが認識された。最終年度に、なんらかの仮説を提示できるようにすることを目標に加えたい。
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