研究課題
最終年度である本年度においては、幕末期から明治初期の、日本の「領域」確定・「国境」確定がどのようなかたちで行われたかのとりまとめを行った。具体的な検討課題としては、(1)日魯通交条約、(2)蝦夷地の編入、(3)樺太、(4)琉球処分、(5)島嶼の無主地先占(小笠原諸島、尖閣諸島など)、そして(6)竹島、の6件であった。(1)日魯通交条約、(2)蝦夷地の編入、(3)樺太の3つの課題については、ロシアとの関係でどのような形で「国境」が画定されたのかに重点を置き、資料の収集・分析を行った。(4)琉球処分については、ことに、1854年の琉米「条約」、1855年の琉仏「条約」、1859年の琉蘭「条約」について"colonial treaties"と位置づけられるのかという点の検討を通じて、当時の琉球王国の国際法上の地位の特有性を明らかにした。また、(5)島嶼の無主地先占(小笠原諸島、尖閣諸島など)および(6)竹島については、明治政府の無主地先占理論のとらえ方、ひいては、近代ヨーロッパ国際法における「領域」観念と、近世日本における「領域」観念の違いに焦点を合わせ、「わが国固有の領土」論が日本に特有の理論であることに着目して、その意義と限界を明らかにした。以上のような、日本の「領域」確定・「国境」画定は、とくに中国・韓国などの近隣諸国との緊張関係の下に行われたことから、中国・韓国からの視点がとりわけ重要であると考えられることを考慮して、とくに中韓の最大の課題であったし、現在もあり続けている「間島問題」について、韓国の専門家を研究協力者として、検討を行った。そのなかで、近世の中韓の「領域」・「国境」観念と近世日本のそれらとはかならずしも同一ではないのではないかという結論を得た。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Recueil des cours
巻: 371 ページ: 273~435
法学研究
巻: 88-1 ページ: 1~27
国際法外交雑誌
巻: 113-3 ページ: 1~24
巻: 87-6,7,8 ページ: 1~33,1~35,1~37