研究課題/領域番号 |
23330031
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
森際 康友 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40107488)
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研究分担者 |
松本 恒雄 一橋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (20127715)
長谷部 恭男 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (80126143)
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キーワード | 法曹倫理 / 公共性 / 法実務教育 / 企業内弁護士 / 公務員倫理 / 実務法曹教育 / 職域拡大 / 社会的責任 |
研究概要 |
本研究初年度の23年度は、前研究の成果を活かし、主任・分担各研究者が担当研究を推進、各地で成果を報告しつつ、並行して国際会議を企画・実行し、連携研究者等から研究調査報告を受けるとともに、研究成果を発表した。国際会議は、2011年3月に東京大学で、法曹倫理国際コロキウム「法曹倫理の最前線」、同シンポジウム「弁護士人口の増加と職業倫理」と題して、前研究の成果報告シンポジウム「職域拡大時代の弁護士倫理-課題と展望」を踏まえた企画で開催し、併せて関係者と2012年度以降の研究打ち合わせを行った。具体的には、中国における法曹人口激増への対応・課題、欧州におけるABS等、法律専門職ビジネスモデルの急展開とそれへの職業倫理の対応・課題の報告を受けて、日弁連における弁護士職務基本規程解説の改訂作業を行った弁護士チームや日本組織内弁護士協会の協力を得て、弁護士の人口増加への対応として弁護士の職域拡大を掲げ、わが国における企業内弁護士倫理の課題、利益相反と依頼者の同意の問題をとりあげた。また、この間の検察官不祥事問題についての反省として、検察官および刑事弁護人の役割と課題をとりあげ、議論した。この間、森際は弁護士の職域拡大に対応した改訂を行った教科書『法曹の倫理』第2版の中国語訳発刊を記念する講演を台北で行った。また、研究成果を法哲学社会哲学国際学会連合(IVR)世界会議(フランクフルト・8月)で発表、引き続き、アイルランドの弁護士倫理の調査を行った。教育研修実践については、森際が本年度もドイツ裁判官アカデミーでドイツの裁判官を中心とする欧州の裁判官の倫理研修を行ったほか、本務校以外に学習院大学、九州大学で法曹倫理やその裏面であるCorruption(汚職・腐敗)の講義を行った。こうして「法曹の職域拡大に伴う法曹倫理の展開」に寄与する研究・情報発信・教育を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、法曹の職域拡大に伴う法曹倫理の展開について、国内外の最新動向の調査を踏まえて、独自の提言を行い、その情報発信を国際的に展開することを目的としている。その点で、3月の東大での国際会議を中心として、フランクフルト、台北などでの研究成果報告、学習院・九州・ドイツ裁判官アカデミーでの教育・研修活動はこの目的達成に重要な役割を果たしたと考える。本年度は、欧州・中国およびわが国における最新動向の調査は、連携研究者の協力を得て達成できたが、アメリカや開発途上国の調査は次年度にまわさざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、法曹の職域拡大に伴う法曹倫理の展開について、国内外の最新動向の調査を踏まえて、独自の提言を行い、その情報発信を国際的に展開することを目的としている。毎年の国際会議における総括研究と成果報告は大きな成果を上げているので、今後も行っていきたい。24年度は、国内関係者との合宿を含めた国内ネットワーク強化を目標とし、わが国の法曹倫理教育研究のシステム化・制度化に向けてできることをしたい。その他、わが国の法曹倫理の教育研究体制整備に向けた活動の他、海外における法曹倫理教育研究の開発や支援、国内外の教育研修活動を追求する。なお、24年度は、アメリカ大陸における調査に重点をおくこととする。
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