研究課題/領域番号 |
23330033
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
金子 由芳 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (10291981)
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研究分担者 |
草野 芳郎 学習院大学, 法学研究科, 教授 (70433711)
角松 生史 神戸大学, 法学研究科, 教授 (90242049)
栗田 誠 千葉大学, 法科大学院, 教授 (20334162)
松永 宣明 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (80127399)
斉藤 善久 (押見 善久) 神戸大学, 国際協力研究科, 准教授 (10399785)
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キーワード | アジア法 / 紛争解決制度 / 土地紛争 / 災害法 / 貿易投資協定 / AEC(ASEAN経済共同体) |
研究概要 |
本研究はアジア諸国の法整備の課題を、欧米モデルの「移植」ではなく、現地社会経済の動態の側から探求する意図に立ち、静的な法制度と社会的ニーズとの矛盾が最も熾烈に立ち現れていると考えられる紛争解決現場の動向に着眼する。方法として、実定法・判例研究にねざす比較法学の手法に法社会学の実証的な社会動態への接近方法を組み合わせる。平成23年度は、第一に土地・環境・防災・都市政策をめぐる研究グループ、第二に企業・競争・投資政策をめぐる研究グループに分かれ、それぞれ、主要な検討対象国毎に、実定法・紛争動態の基本的な情報収集に努めるとともに、主な対象国で予備調査を実施し、次年度の本調査へ向けての仮説的枠組みの形成を意図した。この際に、日本法の現状・課題を軸とした比較の枠組みを重視した。 第一グループは、タイ・ラオス・カンボジア・インドネシア他を対象に、農地・森林の慣習的土地利用が土地所有権登記制度を盾にした開発事業や環境保全政策と対立する紛争群、また大規模災害からの応急支援や復興政策における行政ガバナンスや被災者の紛争群を追い、比較検討のための質問票を作成した。 第二グループは、2015年のASEAN経済共同体(AEC)発足へ向けて、ASEAN事務局が主導する域内諸国の法制度の整合化の動きや関係諸国の対応に着眼し、いっぽうで各国間や域外諸国と締結を進めるFTA等の二国間・地域間貿易投資協定との内容的相違に目を向け、域内先発国と後発国との利害対立を解消しうる法整備のありかたを検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基礎資料の収集や国際比較のためのテンプレート作成などがほぼ予定通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度はインドネシア・タイ・中国・ベトナム・カンボジア・ラオス・ニュージーランド他の海外研究協力者との連携を深め、共通の論点を絞り込んだうえで比較研究を実施する予定である。この際、当初からの関心領域である、行政の開発事業優位の土地法と慣習的土地利用者との間の紛争領域に加えて、2011年の東日本大震災、タイの大洪水、ニュージーランド・クライストチャーチ地震など一連のアジア太平洋地域の大災害を契機に、災害復興における被災者をめぐる紛争領域への問題関心が研究分担者・協力者の間で高まり、重点領域の一つとして力点を置く方向である。
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