研究課題
本研究は、比較法学や法社会学で注目の集まる「法の移植」(legal transplant)ないし「法と開発」(law and development)の問題領域において、有力な欧米研究者主導の理論枠組みとは別に、アジア諸国における法整備の実証的観察に根差した現状分析を目的とした。とくに紛争動向が注目される2つの大きな検討領域として、土地問題と投資紛争に焦点を当て、法制変化を辿りつつ、複数回の現地調査を通じて現実の紛争動向に接近した。このうち土地問題については、タイ南部パンナー県・プーケット県、インドネシア・アチェ、ミャンマー・ヤンゴン近郊他にて現地調査を実施し、環境政策・農業政策・都市政策・防災政策など多様な法政策に翻弄される農・漁村コミュニティにおける裁判・和解・調停等の紛争手続に着眼しつつ、実定法・慣習法を総合する規範適用の動向を追った。投資法制については、WTOサービス協定・FTA/EPA・TPPなどのグローバル化外圧の渦中で、また2015年アセアン経済共同体発足へ向けて各国の思惑が錯綜しあうなか、影響の懸念される中小企業をとりまく投資紛争・競争法制・労働法制等の制度変化を追い、現地調査により紛争現場の動向把握に努めた。比較の軸として日本法の動向との対比で、ベトナム・タイ・インドネシア・ラオス等の立法動向・紛争動向を追った。方法的には、比較研究を可能にする研究体制として、主要対象地域の大学研究者・法曹との有機的な連携をとり研究協力を深めた。また、研究成果の分析過程では、欧米・中国・韓国・タイ・ベトナム等の比較法学・法社会学の研究ネットワークとの交流を生かすとともに、開発経済学の前衛的動向と連携した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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金子由芳編『科研報告書: アジアの紛争解決と法発展』所収
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Proceedings of Japan-Netherland Law Conference 2013, Leiden University.
河野正憲先生古希記念論文集(慈学社)
和田仁孝『法の選択的適応』Signe
国際協力論集
巻: 22巻2号 ページ: 1-40
アジア法研究
巻: 7号 ページ: -
日本不動産学会誌
巻: 27巻3号(106号) ページ: 55-62