研究課題/領域番号 |
23330038
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
権左 武志 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (50215513)
|
研究分担者 |
飯田 芳弘 学習院大学, 法学部, 教授 (40232128)
遠藤 泰弘 松山大学, 法学部, 准教授 (30374177)
林 知更 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (30292816)
今野 元 愛知県立大学, 外国語学部, 准教授 (60444949)
田口 正樹 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (20206931)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 連邦主義 / ワイマール / プロイセン / ライヒ改革 / プロイス / カール・シュミット / ヘルマン・オバン / シェーンベルガー |
研究概要 |
1、飯田芳弘:ワイマール期の単一国家論研究を続行した。プロイセン首相ブラウンに請われてライヒ参議院代表となり、ライヒ改革の実現に尽力したアルノルト・ブレヒト(ライヒ対プロイセン裁判のプロイセン代表の一人)に注目し、この人物を中心に単一国家論の一側面が描けるとの感触を得た。2、遠藤泰弘:10月のドイツ史研究会で、先行研究に基づくプロイスのワイマール憲法制定審議過程への関与と資料状況を整理して報告した。また、プロイスの政治構想に関する雑誌論文を取りまとめるなど、研究成果の公表に努めた。3、権左武志:10月のドイツ史研究会で、カール・シュミットの連邦主義・多元主義批判を、他の国法学者と対比しつつ、保守革命派との関連で探究するため、研究文献の紹介を行った。3月には、2週間の在外研究に赴き、シュミット研究者のメーリング教授とデュッセルドルフで会談し、コブレンツの連邦文書館で未公刊資料の収集に当たった。4、今野元:ドイツ連邦共和国成立時の連邦制論議について、7月末にコブレンツ連邦文書館に所蔵されたマイクロフィルム文書を閲覧した。この文書は相当な分量があり、今回の滞在では十分に見ることができなかったため、できれば再訪が必要と思われる。5、林知更:ワイマール期憲法学の方法論的刷新が、ビスマルク帝国やワイマール共和国の国家構造の理解にいかなる影響を与えたかを明らかにするため、ワイマール期新理論の一方の旗手であるシュミットと、その弟子に当たるフォルストホフ、フーバーの著作及び研究文献の読解を進めた。6、田口正樹:ヘルマン・オバンの1920年代までの著作を収集し、彼のLandesgeschichte構想とライヒ改革をめぐる議論へのスタンスを分析した。言語とその変遷を重視し、境界の変動を柔軟に認める彼の歴史観を確認するとともに、Volkに照明をあてた同時代の運動や歴史家との関係を考察した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
10月の第4回研究会では権左と遠藤の両名が研究状況を報告し、12月の第5回研究会ではゲストの大西楠氏(東京大学研究員)からトリーペルの連邦主義論に関して報告していただき、それぞれ討論を行った。2月末から3月にかけて、ドイツ国制史・憲法学史研究者のクリストフ・シェーンベルガー教授(コンスタンツ大学)を招聘し、札幌・東京・大阪で、それぞれ「ドイツ連邦国家の発展」「ワイマール統治機構の諸問題」「連邦としての欧州連合」をテーマとする講演会を開催し、いずれも活発な討論と有意義な研究交流を行うことができた。したがって、長期の在外研究を行った研究分担者が数名いたにもかかわらず、第2年次の研究計画はおおむね順調に進展していると評価できる。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、研究課題に精通するゲストを招いて7月の研究会で報告をうかがうほか、9月にはドイツ人研究者を招聘し、講演会を開催することができないか、交渉中である。資料の収集や招聘の打合せのため、短期の在外研究がさらに必要なようであれば、合わせて検討する。最終年度なので、12月と2月には、研究分担者から各人の研究成果を報告していただき、公表の準備を進める予定である。
|