研究課題/領域番号 |
23330041
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
久保 文明 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (00126046)
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研究分担者 |
山岸 敬和 南山大学, 外国語学部, 准教授 (00454405)
松岡 泰 熊本県立大学, 総合管理学部, 教授 (40190425)
菅原 和行 釧路公立大学, 経済学部, 准教授 (90433119)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 民主党 / 共和党 / イデオロギー / オバマ / 保守主義 / リベラリズム / 超党派主義 / 分極化 |
研究実績の概要 |
本年度はワシントンに4月から7月初めまで滞在し、そこで多数の政党関係の集会・セミナー・講演会、あるいは研究者による研究集会に参加することができた。所属したウッドロー・ウィルソン国際学術センターにおいても、多数のアメリカ政治関係のセミナーに参加することができた。また、6月後半には、ミシシッピ州共和党上院予備選挙の決選投票を実際に視察し、関係者に聞き取り調査することもできた。その成果はすでに執筆済みである。 業績としては、アメリカ政治の超党派的側面を象徴する事例として対日政策を取り上げ、日本との同盟について、現在のアメリカでは例外的に超党派的コンセンサスの上に成り立っていることについて分析した論考を多数執筆し、またセミナー等で発表した。同時に、2014年11月の中間選挙を一つの事例研究として取り上げながら、極端なまでのイデオロギー的分極化が外交、財政、健康保険、移民など、さまざまな政策領域におよび、政策・政治の膠着状態をもたらしている現状について分析した。さらに、上下両院を共和党が支配することになる2015年初頭以降のアメリカ政治の展開についても、オバマ大統領の側の事情、共和党多数議会の側の論理に焦点をあてながら、見通しを示した。前者については、大統領権限の多用によるリーダーシップの行使が軸となり、後者についていえば、民主党政権への徹底的抗戦と、政治の停滞打破、自らの成果の誇示、さらには統治能力の証明などの要素から、限定的な超党派主義の登場を可能性を指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料の収集・整理とその分析、暫定的な研究成果の公表は予定通り進んでいる。 刊行された業績面でも、ほぼ予定通りである。予備選挙を通じたイデオロギー的分極化だけでなく、その反面でもある超党派主義についても同時に視野に入れた分析枠組みの妥当性について、当初の仮説どおり、証明されつつあるといえよう。共和党がオバマ政権と激しく対立しながらも、現在TPP(環太平洋経済連携協定)を成立させようとしてるのは、その一例であるといえよう。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である2015年度には、総括としてまとまった論文を公表する。 資料の収集を続けながらも、その分析の洗練度を高めたい。 数回アメリカに出張し、研究成果を現地の研究者ならびに政治の実践者に提示して、コメントを受け、最終的な成果とりまとめに持って行く予定である。
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備考 |
久保文明「中間選挙オバマ大敗①」『日本経済新聞社』2014年11月11日付。
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