研究課題/領域番号 |
23330041
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
久保 文明 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (00126046)
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研究分担者 |
山岸 敬和 南山大学, 外国語学部, 教授 (00454405)
松岡 泰 熊本県立大学, 総合管理学部, 教授 (40190425)
菅原 和行 釧路公立大学, 経済学部, 准教授 (90433119)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アメリカ / イデオロギー / 政党 / リベラル / 保守 / 分極化 / 超党派主義 / トランプ |
研究実績の概要 |
これまでの調査で蓄積した知見や資料を総括し、2016年度に生起したことも含めて、研究成果としてまとめる作業に集中した。ただし、大統領候補を指名する過程では、予備選挙において、これまでの常識に反する異例な事態が発生した。共和党では政治経験がほぼ皆無のトランプ候補が首位を走り、盤石と思われたヒラリー・クリントン候補も民主党内で苦戦している。ここで観察されるのは、政党の局外者による政党の乗っ取り、あるいは敵対的買収に近い現象である。アメリカの政党構造の柔らかな性格、すなわち外部の政治運動・社会運動に対して開放的かつ脆弱な側面が劇的な形で示されている。 とくに共和党については、徹底した限定的政府、信仰心の重視、そして力の外交といった正統な教義が、部会者の参入によっていとも簡単に脅かされつつある。その意味で、イデオロギー的分極化現象も鉄壁ではなく、意外な脆さを内包していた。 とりまとめにあたっては、こうした新奇の傾向にも配慮しつつ、これまで収集してきた予備選挙に関するデータ、および一部シンクタンクやNGOなどで見られる超党派主義に関する資料に依拠して、予備選挙を一つの契機とするイデオロギー的分極化と、それを中和しようとする超党派主義のせめぎ合い、両者の権力基盤の理論的分析に留意して研究を遂行した。 トランプ現象を取り入れた分析をするのであれば、イデオロギー的分極化を打破する枢要な勢力は、たとえば共和党内の白人ブルーカラー層であり、彼らは同党の既成のイデオロギーに対して大規模な反逆を演じてみせた。選挙区の区割り、二大政党のエリートによる政策アジェンダ統制能力などからみてかなりの程度盤石と思われた厳格なイデオロギー的分極化は意外なところにその綻びの起爆剤を抱えている。このあたりの様相を、相当程度公刊してきたが、今後さらに活字にして行きたい。
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現在までの達成度 (段落) |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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