研究課題/領域番号 |
23330043
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
高橋 百合子 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 准教授 (30432553)
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研究分担者 |
岡山 裕 慶応義塾大学, 法学部, 教授 (70272408)
小川 有美 立教大学, 法学部, 教授 (70241932)
鹿毛 利枝子 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (10362807)
粕谷 祐子 慶応義塾大学, 法学部, 准教授 (50383972)
曽我 謙悟 神戸大学, 法学研究科, 教授 (60261947)
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キーワード | アカウンタビリティ / 民主主義 / 情報公開 / 世論 / 政治腐敗 / 市民社会 / 監視制度 / 多国間比較 |
研究概要 |
本研究課題は、先進国・途上国にまたがる国際比較に基づき、アカウンタビリティ改革の現状および改革の要因・帰結についての、包括的な実証研究を行うことを目指している。本年度は、(1)アカウンタビリティの概念整理、(2)アカウンタビリティを確保する諸制度・政策のサーベイ、および(3)同制度・政策の生成要因、及び改革帰結の分析に焦点を絞り、斬新な成果を得ることができた。(1)については、粕谷と高橋が中心として、研究の土台となる論文を執筆した。(2)および(3)については、各研究分担者が具体的な事例に基づき研究を進めた。 具体的に、岡山は、アメリカにおける社会的アカウンタビリティの代表的な担い手である政府監視団体について、1960年代以降いかなる団体がどのように活動しているのかについての調査を行った。小川は、現在のEUならびに欧州各国の経済・政治危機の中で、平常型のアカウンタビリティ確保メカニズムだけではなく、それを超える状況におけるアカウンタビリティがどのように要請され調達されるか、という視点から、アイルランド、イギリスにおける調査を行った。鹿毛は、アカウンタビリティをめぐる世論に関する実証分析を開始した。アカウンタビリティをめぐる世論についての理論状況を整理するための文献調査と並行して、実証分析の準備として、利用する予定のJESIIIデータの整理を行った。その上で、暫定的な実証分析を開始した。粕谷は、上述の論文執筆に加えて、世界各国における情報公開法の成立要因の検討を行った。具体的に、インド、南アフリカ、ドイツにおいて聞き取り調査を実施した。曽我は、選挙ガバナンスをめぐる諸研究について展望論文を執筆するとともに、選挙管理機関の制度選択について、各国比較の計量分析を実施した。高橋は、上記の論文執筆に加えて、ラテンアメリカにおける会計検査、およびオンブズマン制度構築について、ブラジルとチリで現地調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、「どのような要因が政府のアカウンタビリティを高める制度構築を促進するのだろうか」という問いに対して、世界各国で進行する同改革推進の一般的条件を明らかにすることを目的としている。本年度は、各分担者が当初の予定通りに、概念整理、各国における諸制度・政策のサーベイ、および制度・政策の生成要因・帰結の分析を行い、1月の研究会で成果発表を行った。研究会での討論を通じて、次年度以降の研究課題を確認した。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、当初の計画通りに、(1)各分担者が、各自の事例研究を継続して行う、(2)事例研究の中間報告を行う、および(3)学会で研究成果の暫定的な報告を行う予定である。 特に(3)については、2012年7月にスペインで行われる世界政治学会、および10月に開催される日本政治学会年次大会で、本研究課題についてのパネルが採択され、報告が決定している。これらの国内外での学会発表を通じて、様々な研究者からのフィードバックを基に、研究内容を向上させることを目標としている。
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