研究課題/領域番号 |
23330043
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
高橋 百合子 神戸大学, その他の研究科, 准教授 (30432553)
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研究分担者 |
鹿毛 利枝子 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (10362807)
粕谷 祐子 慶應義塾大学, 法学部, 教授 (50383972)
曽我 謙悟 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (60261947)
小川 有美 立教大学, 法学部, 教授 (70241932)
岡山 裕 慶應義塾大学, 法学部, 教授 (70272408)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | アカウンタビリティ / 民主主義 / 情報公開 / 世論 / 政治腐敗 / 市民社会 / 監視制度 / 多国間比較 |
研究概要 |
本年度は、次の3点に焦点を当てて、予定通りに研究を遂行した。 1.アカウンタビリティを確保する諸制度・政策のサーベイ(前年度からの継続):世界各国でどのようなアカウンタビリティを確保する制度が存在し、どのような変遷をたどっているのかについての全体像を浮かび上がらせることを目的とした。具体的に、各共同研究者が特定のアカウンタビリティ・メカニズムを担当し、各メカニズムに関してどのような制度が世界各国で採用されているのかを検討した。 2.アカウンタビリティ制度・政策の生成要因及び改革帰結の分析(前年度からの継続):各共同研究者が、各自の分担について、どのような条件のもとでアカウンタビリティを確保する制度・政策の改革が進むのか、また改革はどのような帰結をもたらすのかについて分析を行った。その際、現地調査を含む「事例分析」が分析の中心的作業となった。粕谷は、イギリスにおける情報公開改革について研究を遂行した。高橋はラテンアメリカ諸国に焦点を当てつつ、会計検査制度について研究した。鹿毛は、アカウンタビリティに関する市民意識の変化をもたらした社会経済要因・制度的要因を検討した。曽我は、選挙アカウンタビリティの一般理論の構築と、国際比較の可能性に焦点を当てた。岡山は、米国の事例に焦点を当てて、シンクタンクや市民団体による社会的アカウンタビリティを保障するメカニズムと、イデオロギーの二極化との関連について研究を行った。小川は、政治社会学とEU統合論の両面から、欧州連合(EU)におけるアカウンタビリティ改革の帰結を中心に、研究を進めた。 3.中間成果発表(学会報告):7月の世界政治学会(スペイン・マドリッド開催)で粕谷と小川が、10月の日本政治学会の年次研究大会では曽我、粕谷、高橋が、本研究課題についての中間成果報告を行うことによって、さらなる研究課題を明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、「どのような要因が政府のアカウンタビリティを高める制度構築を推進するのだろうか」という問いに対して、世界各国で進行する同改革推進の一般的条件を明らかにすることを目的としている。本年度は、各分担者が、当初の予定度通りに、(1)各国における諸制度・政策のサーベイ、(2)制度・政策の生成要因・帰結の分析、(3)国内外での中間成果発表、および(4)1月の年度末研究会での成果発表を行った。また、高橋は、諸事情により7月の世界政治学会で報告するための出張を遂行することが不可能となったため、成果報告は翌年度に繰り越すこととなった(平成25年度5月に米国のラテンアメリカ学会にて報告)。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、当初の計画通りに、(1)今年度に引き続き各自が事例分析を行い、その結果を出版物にまとめる準備を行う、(2)研究会を開催して各自の研究成果を報告する予定である。 また、出版成果を本にまとめるにあたり、次の2点を計画している。(1)現在の分担者では網羅されていない地域の事例分析を加えるために、東欧諸国の比較政治を専門とする早稲田大学の久保慶一准教授に分担者に加わっていただき、本研究の幅を広げること、および(2)東南アジアのアカウンタビリティ政治に詳しい、ドイツ・フライブルグ大学のクリスチャン・ヴォン・リュプケ研究員を研究会に招聘し、知見を共有してもらうとともに、本研究の成果出版に加わっていただくことを検討している。
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