研究課題/領域番号 |
23330044
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
飯田 文雄 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (70184356)
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研究分担者 |
辻 康夫 北海道大学, 大学院公共政策学連携研究部, 教授 (20197685)
津田 由美子 獨協大学, 法学部, 教授 (30247184)
西山 隆行 甲南大学, 法学部, 教授 (30388756)
網谷 龍介 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (40251433)
浪岡 新太郎 明治学院大学, 国際学部, 准教授 (40398912)
早川 誠 立正大学, 法学部, 教授 (80329010)
月村 太郎 同志社大学, 政策学部, 教授 (70163780)
渋谷 謙次郎 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (50346277)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 多文化主義 / 言語権 / 社会権 / 参政権 / 福祉国家 |
研究概要 |
本研究は、多文化共生社会論に関して2000年代半ば以降生じた変化を、言語権・社会権・参政権という3つの権利に則しつつ解明することを目指すものである。本年度は、少数派文化の経済的な定着に不可欠な権利である、社会権を巡る諸問題を取りあげて、以下の研究を行った。 (1)本研究ではまず、2000年代半ば以降の社会権を巡る、理論的な諸研究について、多様な先行諸研究を幅広く収集し、その特色や問題点などについて批判的な検討を加えた。その結果、①文化的少数派の社会権に関しては、例えば医療給付など、短期的な移民から帰化・永住希望者などに至るまで、比較的広範な少数派集団に提供される諸権利と、年金など、長期間の滞在者に受給者が限定される諸権利の区別が重要であること、②社会権に関しては、一見新しい権利付与を受けたように見える少数派集団が、現実には、そのために費用負担等の新たな義務を負っている場合も多く、少数派集団毎に権利付与と義務負担を総合的に勘案した分析が不可欠である、等の重要な知見が得られた。 (2) 更に本研究では、2000年代半ば以降の北米・西欧・東欧諸国において、文化的少数派が現実に付与される社会権に関して、いかなる具体的変容が生じたかを多面的に分析した。その結果、①この時期の北米では、例えば医療給付の条件を巡る米国とカナダの格差のように、文化的少数派に付与される社会権の国家間格差が表面化し、より寛大な給付条件を求めた人の移動・移民問題が政治的争点化する事例が見られた、②他方ヨーロッパでは、EU成立等の諸要因から、社会権を巡る国家間格差を縮小するための多様な試みが開始されつつある、等の重要な知見が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本語での研究論文・図書の公刊や学会報告が当初の予定通り相当数行われており、更に外国語での研究報告も当初の予定通り順調に進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、当初の計画に従い、文化的少数派の参政権に関する研究、および、日本社会の多文化化に関する研究を行う予定である。そのために、国内外での調査を続行すると同時に、海外研究者の日本招聘、内外学会での研究報告や国内外学術雑誌への投稿、更には、研究の最終的な成果である共同論文集の刊行に向けた原稿作成作業等を順次進める予定である。
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