研究課題/領域番号 |
23330046
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
吉野 孝 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (00158487)
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研究分担者 |
川岸 令和 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (10224742)
前嶋 和弘 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (10350729)
飯田 健 同志社大学, 法学部, 准教授 (50468873)
中山 俊宏 慶應義塾大学, 総合政策学部, 教授 (60439560)
今村 浩 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (80184828)
渡辺 将人 北海道大学, その他の研究科, 准教授 (80588814)
松本 俊太 名城大学, 法学部, 准教授 (90424944)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 政治理論 / 政治過程論 / 選挙研究 / キャンペーン / 人種 / 政党 / 保守化 |
研究概要 |
平成25年度の第1の研究活動は,単行書の刊行である。これは2012年の大統領選挙とオバマ政権2期目の最初の3か月間を分析対象にした。しかし,2013年3月から8月まで「財政の崖」問題の回避から連邦債務の引き上げ問題など政党間交渉の展開が激しく,一部の章では何度も原稿が書き換えられた。予定より遅れたものの,同書は平成26年3月に東信堂から『オバマ後のアメリカ政治:2012年大統領選挙と分断された政治の行方』として刊行された。活動の第2は,これまでの研究成果を研究書として刊行するための分担部分の最終報告である。第1回研究会(10月)では,吉野が「『選挙デモクラシー』の仕組みとアメリカ政治」と題して報告した。これは昨年度の報告の改訂版であり,アメリカのデモクラシーは小選挙区制と規律の弱い議会政党という古典的制度によって特徴づけられ,選挙後に政治運営は大統領と議員の交渉に委ねられるものの,しばしば選挙結果が政治を動かすダイナミックなものであることが強調された。第2回研究会(12月)では,中山が「米国における政治的2極分化と対外政策コンセンサスの崩壊」と題して報告した。ここでは,外交政策における冷戦コンセンサスは「外交エスタブリシュメント」と称される超党派グループの存在によって支えられていたものの,イラク戦争後このグループが消滅し,外交政策領域においても2極分化が進んだことが指摘された。第3回研究会(平成26年2月)では,前嶋が「1960年代以降の経済社会変化の様相とメディア」と題して報告した。ここでは,1980年代の政党エリート間対立を契機にメディアと有権者の2極化傾向が進んだことが明らかにされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究事業では,平成22年度~平成25年度までの4年間にアメリカの「選挙デモクラシー」の危機に関する調査と研究を行い,5年目の平成26年度を,これまでの研究成果を刊行するための原稿執筆にあてることになっている。これまで研究代表者と研究分担者は申請時の研究分担にしたがい,定例研究会でそれぞれ年1回の報告を行い,それらをまとめた単行書が4冊いわば年次報告書として刊行された。オバマ政権で頂点に達したアメリカの「選挙デモクラシー」の危機状況はすでに詳細かつ十分に分析されているので,残された作業は,それらを1960年代以降の大きな社会経済変化と関係づけることである。研究代表者と研究分担者の最終報告はすでに平成25年10月に始まり,平成26月9月で終了する予定である。このまま進むと平成26年度内に最終原稿を集めることが可能になるので,研究作業は「おおむね順調に進展している」と判断することができる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究事業の最終目的は,研究成果を『危機のアメリカの「選挙デモクラシー」:社会経済変化と政治的対応』(4部構成,全10章)という研究書として刊行することにある。すでに平成25年度に,4章分の報告(中山,前嶋,吉野)は終わっており,平成26年5月の定例研究会から,残りの各章の最終報告が行われる(5月「選挙制度と政党の対応」[今村],6月「新しい選挙運動様式としてのアウトリーチ」[渡辺],7月「投票行動の変化・対応」[飯田],8月「経済社会変化と司法」[川岸],9月「連邦議会の変化と対応」[松本])。これらの報告に基づいて11月の研究会で「選挙デモクラシー」の活性化の可能性とその方法について意見交換をし,結論の内容を決定する。平成27年1月に,全原稿を取りまとめて出版助成に応募する。助成獲得後,出版社と交渉に入り,平成27年度中に研究書の刊行を目指す。
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