研究分担者 |
阿部 昌樹 大阪市立大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10244625)
砂原 庸介 大阪市立大学, 大学院・法学研究科, 准教授 (40549680)
曽我 謙悟 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (60261947)
徳久 恭子 立命館大学, 法学部, 准教授 (60440997)
待鳥 聡史 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40283709)
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研究概要 |
現代の先進諸国に共通してみられる「縮小都市」という現象に注目し,その政治的および政策的意味を解明することが本研究の目的である。初年度にあたる平成23年度においては,本研究における縮小都市の定義を行うとともに,日独米仏4カ国それぞれにおいて港湾都市の調査を行った。 まず定義であるが,本研究では縮小都市を単なる人口や経済規模の減少と捉えるのではなく,そうした減少を踏まえた政策的対応を地方政府が行っている都市を縮小都市と呼ぶことにした。つまり,外生的要因により促される縮小という現象への政策的対応,さらにはそうした対応を制約する制度を比較分析の鍵とするのである。 次に事例分析であるが,本年度はボルティモア(米),長崎(日),デュイスブルク(独),ルアーヴル(仏)で調査を実施した。4都市はいずれも重工業や港湾機能を経済活動の核としながらも,オートメーション化などで失われた雇用とそれに伴う人口流出への対応を政策課題としている。具体的には,開発政策に併せて,集約化を含む都市計画,住宅政策を実施することで都市の再活性化を図ることを主軸に据えている。一連の施策は中央地方などの政府間関係や財政制度に阻害/促進されることもヒアリングから明らかになっており,これを客観的に分析することを次年度以降の課題としたい。 縮小への積極的対応という観点はこれまでの研究にないものであり,これを究明していくことは,人口減少時代の都市政策に学術面でも実務面でも応えるものと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画で予定した通り,日独米仏4カ国の港湾都市に関する調査を行った。事前調査を通じて,港湾都市は国際競争に従事しながらも,産業遺産や港湾を含む歴史的なまちなみを軸とする観光都市として再生を目指していることが明らかになった。そこで,一度の調査で1カ国2都市を対象にするという当初の方針を変更して,「港湾都市」と「歴史都市」という二つの側面を持つ4つの都市を重点的に調査した。
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今後の研究の推進方策 |
第一に,昨年度の調査を受けて新たに検討が必要となった都市計画や住宅政策などに関する調査研究を進める。第二に,分析枠組みの構築に向けて海外連携研究者を招聘して研究会を実施する。第三に,追加調査を実施するとともに,新規調査を実施する。本研究は昨年度と同様に,研究代表者の総括と調整の下,理論班と事例班に分かれて研究を進めるが,定期的に開かれる研究会でそれぞれの進捗状況を確認するとともに,課題解決に務めることで研究の円滑化を図りたい。
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