研究課題
本研究は、現代の先進諸国に共通してみられる「縮小都市」という現象に注目し、その政治的および政策的意味の解明を目指すものである。この目的に即して、本年度は、これまで検討してきた、縮小都市に対する政治学からのアプローチをより精緻化した。具体的には、グローバル化という外生的要因が生み出す、都市政府の区域と社会経済的都市圏のずれに対し、都市政府はどのような政策的対応を行うか、その対応に多様性を生じさせる要因は何かを明らかにしている。そして、ここに示された作業仮説を検証することを事例班の課題であることを確認した。事例研究は、日本(長崎市、函館市、下関市)、ドイツ(デュイスブルク市、ヴィルヘルムスハーフェン市)、フランス(ルアーヴル市、ルーアン市)、アメリカ(ボルティモア市)を対象にしているが、2013年度はデュイスブルク市の追加調査と下関市の調査を実施した。2011年度と2012年度の調査で、4カ国それぞれの港湾都市は、人口流出を抑制し、可能であれば増加を見込むという目的から都市間競争に従事していること、政府間関係が開発政策のあり方に少なからずの影響を与えることが明らかになった。しかし、その一方で、積極的な都市間連携を行うことで、縮小という現象に対応しようとしている地方政府もあり、都市政府の区域の再構築という課題が意識されていることもわかってきた。2013年度の追加調査はこの問題を捉えるためのものでもあり、縮小時代の行政区域の再編という問題について新たな知見を得ることが出来た。本研究で得た知見は、今後、ますます進む「縮小」という実態への対応に含意を持つものと考える。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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『大阪市立大学法学雑誌』
巻: 60巻2号 ページ: 1-43
『年報行政研究』
巻: 49 ページ: 213-216
『都市問題』
巻: 104巻8号 ページ: 44-53
『書斎の窓』
巻: 624号 ページ: 51-55