研究課題
本研究は、19世紀から現在にいたる中国の外交について、外交史研究者と現代外交研究者が共同チームを組織し、既存の時期区分を批判的に検証した上で、その連続性と変容過程を、実証研究を踏まえて検討し、中国外交の通史的枠組みを提示することを目的として組織された。第二年度は、従来、中国外交史の叙述上の分岐点とされた日清戦争から義和団事件前後の時期、また1927/28年、あるいは1949年前後などについて、東アジア国際関係史研究会、また個々の研究分担者の活動を通じて、制度、思想、言説、政策、交渉などの多様な側面から、計画書に基づいて、一定の成果を上げることができた。2012年6月10日には、「東アジア近現代史の連続・断絶、可能性」というワークショップを開催し、戦後台湾のWHO加盟問題など、中国史や台湾史における歴史の連続性と断絶性、そこに見える可能性について議論した。また、本科研の研究会である東アジア国際関係史研究会を三度に亘って開催した。第三回研究会(5月8日)では、鄭成「地域レベルから見た国共内戦期の中共とソ連の協力関係-旅順・大連を中心に」(コメント:劉建輝・青山瑠妙)で国共内戦期の新たな“外交”を議論し、第四回では、張鳴「曹汝霖、章宗祥、陸宗輿是如何被制造成売国賊的?」(12月4日)で中国近現代史に通底する人物評価問題を討論し、第五回では王文隆「中国国民党党史館的現況与未来」(1月15日、コメント:深町英夫)では、台湾での国民党史、党文書の状況を討論した。研究成果では、川島が19世紀後半の中国に於ける国際法受容の問題を以後の展開を視野に入れつつ記し、また研究分担者の岡本が現在も視野に入れつつ、中国での主権概念の形成を描くなど、個別の成果を生み出してきている。最終年度はこれらをとりまとめつつ、今後の研究課題を析出することを心がけたい。
2: おおむね順調に進展している
それぞれの参加者が長期的な視野に基づいた研究を所期の計画に基づいておこないつつ、個別の成果を生み出してきている。また、そのような観点を共有する研究者が本科研外にも少なからず見られ、議論も活発になっている。
それぞれが進めている課題をとりまとめ、全体像を描くことが第三年度の課題である。それを研究会、シンポジウムなどで議論する予定。
すべて 2012 その他
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 図書 (4件) 備考 (1件)
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