研究課題
本研究の目的は、国家がその意思で国際規範を受け入れ、国際ガバナンスを実現させるという説明にとどまらず、国家が国際規範を受容していく政治過程を解明することであった。具体的には、国際ガバナンスの深層に存在する「提携形成」の問題と「制度設計」の問題が存在し、両問題は相互に影響を与え、ガバナンスを困難にしている点に鑑み、貿易、国際標準、平和維持という具体的政策レジームにおいて、提携形成と制度設計の関係を中心とした国際ガバナンスの実相を、政治学的手法と経済学的手法を通じて分析し、その改善策を探求した。平成25年度の研究成果のうち、以下に要約するものがあるが、それらは国際ガバナンスを取り巻く国家間のパワー分布の変化という「パワーシフト」に関わるものである。鈴木は、パワーシフトの状況における国際ガバナンスの安定性の維持について国際立憲主義の観点から考察した。飯田は、パワーシフトの現れを米中関係の変化や新興国の躍進に見出し、それらが国際経済制度に与える影響について考察した。石黒は、パワーシフトの影響のひとつとして、世界貿易機関(WTO)体制で新たな多角的通商交渉が困難となっていることに鑑み、貿易自由化を進展させる自由貿易協定(FTA)の締結を促進させる国内構造改革について分析した。岩波は、パワーシフトの影響で国連安保理の課題が変化しているなかで日本に求められる新たな役割について検討した。このように、有効な国際ガバナンスを維持するためには、制度の構造・機能や国家の役割を修正しなければならない。当初の研究計画では、国際制度の変容を視野に入れていなかったが、近時の動向によって最終年度では国際ガバナンスの変容を考えざるを得なくなった。ただし、この点の分析は必ずしも十分でなく、変化を伴った国際ガバナンスに関する包括的な分析は、すでに始動している新たな共同研究において実施することになる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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学術の動向
巻: 2014-1 ページ: 14-19
International Studies Perspectives
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国民経済雑誌
巻: 209巻2号 ページ: 1-19
関西外国語大学 研究論集
巻: 97号 ページ: 145-164
国際政治
巻: 175号 ページ: 56-69
Discussion Paper #2013-15, Hitotsubashi University
巻: 2013-15 ページ: 1-33
巻: 172号 ページ: 129-142
国際問題
巻: 618号 ページ: 43-54
国際経済法学会
巻: 21号 ページ: 167-182