研究課題/領域番号 |
23330061
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
小林 慶一郎 一橋大学, 経済研究所, 教授 (60371184)
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キーワード | Diamond-Rajanモデル / 動学的一般均衡モデル / 銀行とりつけ / 世界的金融危機 / マクロ経済政策 |
研究概要 |
銀行理論、マクロ経済理論、財政理論などに関連する文献を購入して研究を進めるとともに、研究協力者と意見交換をおこなって理論モデルを構想した。具体的には、Diamond and Rajan型の銀行モデルを無限期間の新古典派的な経済成長モデル(動学的一般均衡モデル)に導入し、コンピュータシミュレーションによって銀行取付が経済全体に与える影響を分析した。 2008年のリーマン・ブラザーズの破綻によって引き起こされた、世界的な金融危機を契機として、その後のマクロ経済学の研究においては、金融的な制約や金融摩擦を導入する研究が盛んになっている。しかし、銀行破綻の問題をマクロ動学モデルに取り込んだ研究は数少なく、方法論も定まっていない。この現状において、Diamond and Rajan型の銀行モデルをマクロ動学モデルに導入する試みは理論的な価値がある。また、シミュレーションや理論分析によって、銀行規制や金融機関への介入政策の効果について、モデルから得られた知見は、現実のマクロ経済政策を巡る政策論争や政策評価に対しても、大きな影響を持つと考えられる。 モデルの構造について、現在も改訂を進めているため、最終的な政策評価などについての最終的な結論はでていないが、現時点でのモデルから得られる知見については、論文のかたちにとりまとめ、2011年8月にソウルで開催されたEconometric SocietyのAsian Meetingで発表した。この学会発表だけではなく、民間機関主催の国際コンファレンスでも研究成果を発表し、米国やカナダの経済学者から有益なコメントを得た。 2011年度の活動から得られたコメントなどをもとに、年度後半から年度末にかけて、理論がさらに発展し、2012年度の研究につながっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モデルの構造をどのような構造にするのがもっとも適切であるかという点について試行錯誤が続いているが、充実した考察と議論によって、着実に理論構成が進展している。以上の状況から判断しておおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画を発展させ、理論構築とシミュレーションの実施を推進していく。具体的には、Diamond-Rajan型の銀行モデルを使った理論構築を行う過程において、もっとスタンダードな債務契約の構造を導入することでモデルの本質をよりシンプルに表現できる方法を発見したため、この新しいタイプのモデルを構築し、数値計算などの手法でその性質を分析していく。
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