自由時間の不等価交換に関する評価指標の公理的分析に関しては、連続性の公理を用いた公理的特徴づけの理論的研究は依然として作業を進行中である。また、関連する研究として、個々人の選好順序も人的資本水準も物的資産水準も一般に異なり得るような一般凸生産経済環境における資本主義経済システム下での定常均衡を自由時間の不等価交換の観点から公理的に特徴づける論文を完成させた。この論文は理論政治学における世界のトップ・ジャーナルであるJournal of Theoretical Politics誌上における特集号『The 30 years Anniversary of the publication of ‘A General Theory of Exploitation and Class’ by John Roemer』にて掲載予定論文として採用されている。 経済制度設計の基礎理論研究に関しては、正直な行動へのintrinsic preferenceを持つような個人が少なくとも1人いる社会におけるナッシュ遂行可能な社会的選択ルールを公理的に特徴づける研究プロジェクトである「A full characterization of partially honest Nash implementation」において、完全な必要十分条件の確定に成功し、かつ、その条件を満たすか否かをチェックする為の簡単なアルゴリズムの開発に成功した。その結果、従来の合理的経済人モデルのみの社会においては遂行不可能と理解されてきた様々な論脈における様々な社会的選択ルールが我々の想定する社会の下では遂行可能と特徴づけられる事が確認できた。
|