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2011 年度 実績報告書

多数経済主体と非線形経済動学

研究課題

研究課題/領域番号 23330063
研究種目

基盤研究(B)

研究機関京都大学

研究代表者

西村 和雄  京都大学, 経済研究所, 名誉教授 (60145654)

キーワード非線形 / 多数主体 / 人的資本 / 複雑系 / 貿易 / 神経経済学
研究概要

本研究は、異なる経済主体からなる経済における個々の主体の意思決定と動学的均衡経路の大域的性質の分析を行う。
当該研究計画は、多数経済主体モデルに、上記の非線形動学的手法を応用して、動学均衡経路の大域的な振る舞いを明らかにしようとするものである。
これまでのマクロ経済学の動学理論では、代表的個人の効用を最大化する動学的モデルの分析が通常であり、たとえ多数主体が存在する動学モデルであっても、それぞれの経済主体は同じ効用関数をもつという仮定の下での分析が主であった。
本研究では、異なる国が貿易を行う国際経済などのモデルを例とする多数経済主体からなる経済における動学的資源配分の分析を行う。更に、人的資本の役割を明らかにすることで、教育と生産性の関係も分析する。
本研究は、経済を複雑系として捉え、多数の経済主体の相互依存をモデル化することで、経済のふるまいを説明するものであり経済を非線形システムとして捉えるという視点から既存の経済学の統合を図る。
本プロジェクトでは、問題に取り組むに当たり、特に以下の三点に注目する。第一点は「多数経済主体からなる経済の成長と安定化に対する影響」、第二点は「人的資本が意思決定および経済成長に与える影響」、第三点は「認知と意思決定の分析」である。
第一点に関しては、景気循環の国際的連関に関する基礎的な分析を行い、多数の国の間に市場や外部性を通じた相互依存関係がある場合について、貿易を通じた国際連関を分析することである。二国間の国際貿易モデルと大域的な動学については、Erick Bond,岩佐和道との共同研究を論文にまとめ、英文学術誌に発表した。
第二点については、人的資本に注目し、これらの要素が経済成長や景気循環において果たす役割を分析する。特に、教育の果たす役割について分析し、望ましい教育制度のあり方について議論する。人的資本の生産性への貢献については、八木匡、浦坂純子、平田純一との共同研究を発表し、論文にまとめ、邦文学会誌に発表した。
第三点については、経済主体の認知のあり方が、学習や意思決定にどのような影響を与えるかについて、個人の脳活動計測を含めた神経経済学的な分析を行う。神経経済学については、京都大学医学部のfMRI,MEGの機器を使用し、岡田章、飛永芳一、福山秀直らとの共同研究を行ってきた。データの解析が進み、個人の異質性を捉えられる段階にまで来たところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

二国間の国際貿易モデルと大域的な動学については、Erick Bond,岩佐和道との共同研究を、英文学術誌に発表した。人的資本の生産性への貢献については、八木匡、浦坂純子、平田純一との共同研究を、邦文学会誌に発表した。神経経済学については、データの解析が進み、個人の異質性を捉えられる段階にまで来た。研究は予定通りに進展しているといえよう。

今後の研究の推進方策

多数経済主体モデルの非線形動学分析は、今後は外部性を導入することの効果を分析する。人的資本の生産性の共同研究は、評価の在り方が及ぼす生産性への影響について調べる。神経経済学については、データの解析をさらに進め、論文にまとめることを行う。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Poverty Trap and Inferior Goods in a Dynamic Heckscher-Ohlin Model2012

    • 著者名/発表者名
      Eric W.Bond, Kazumichi Iwasa, Kazuo Nishimura
    • 雑誌名

      Macroeconomic Dynamics

      巻: (印刷中)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Monotonicity and continuity of the critical capital stock in the Dechert-Nishimura model2012

    • 著者名/発表者名
      Ken-Ichi Akao, Takashi Kamihigashi, Kazuo Nishimura
    • 雑誌名

      Journal of Mathematical Economics

      巻: 47 ページ: 677-682

    • DOI

      doi:10.1016/j.jmateco.2011.08.005

    • 査読あり
  • [雑誌論文] パネルデータに基づく理系出身者と文系出身者の年収比較2012

    • 著者名/発表者名
      浦坂純子、西村和雄、平田純一、八木匡
    • 雑誌名

      Journal of Quality Education

      巻: 4 ページ: 1-10

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A Dynamic Heckscher-Ohlin Model and Inferior Goods2011

    • 著者名/発表者名
      Eric W.Bond, Kazumichi Iwasa, Kazuo Nishimura
    • 雑誌名

      Asia-Pacific Journal of Accounting & Economics

      巻: 18 ページ: 217-236

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Dynamic Two country Heckscher-Ohlin model with Non-homothetic Preferences2011

    • 著者名/発表者名
      Eric W.Bond, Kazumichi Iwasa, Kazuo Nishimura
    • 雑誌名

      Economic Theory

      巻: 48 ページ: 171-204

    • DOI

      10.1007/s00199-010-0572-8

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 理系学部出身者と文系学部出身者の年収比較-日本家計パネル調査(JHPS)データ」に基づく分析結果2011

    • 著者名/発表者名
      浦坂純子、西村和雄、平田純一、八木匡
    • 雑誌名

      日本の家計行動のダイナミズム経済危機後の家計行動

      巻: VII ページ: 189-210

    • 査読あり
  • [学会発表] 育てたい規範と学習力2012

    • 著者名/発表者名
      西村和雄
    • 学会等名
      講演会「家庭と学校、地域の支え」~自ら考える力を育てる~
    • 発表場所
      多摩市立大松台小学校
    • 年月日
      2012-02-17
  • [学会発表] 日本の競争力と理数教育2012

    • 著者名/発表者名
      西村和雄
    • 学会等名
      シンポジウム「理数系基礎学力の強化とモノづくり人材」
    • 発表場所
      機械振興会館B2ホール
    • 年月日
      2012-01-27
  • [学会発表] 数学ができるとは何か2011

    • 著者名/発表者名
      西村和雄
    • 学会等名
      東北支援数学文化講演会in山形
    • 発表場所
      山形大学小白川キャンパス理学部
    • 年月日
      2011-10-09

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公開日: 2013-06-26  

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