研究概要 |
本年度は、第1に昨年度に引き続いて非凸性を導入した環境と経済の動学モデルを分析した。割引率、異時点間の代替弾力性とクリティカル・レベルの関係を調べた。 第2の実績として非指数的割引をモデルに組み入れたモデルについて研究を進めた。既存研究の動向を調べ、モデルビルディングを試みている。 第3に、微分ゲームと動的最適化問題の関係を調べた論文を出版した(IJET 8, 361-379, 2012, with T. Mitra & G. Sorger)。微分ゲームは環境問題の動学分析の代表的な経済モデルである。この論文の系として、共有地では破壊的な資源利用、持続的な資源利用を含むいかなる資源利用も起こりうることを示す論文をワーキングペーパーとして発表した(On the sustainability of a common property resource: An implication from dynamic game theory, with Gerhard Sorger)。 第4の実績として、動学(通時的経済)における排出量取引制度のあり方を理論的に明らかにした論文を出版した(ERE, Online first, with Shunsuke Managi))。効率的な汚染コントロールのためには、汚染許可証を保持すると利息が発生する仕組みが必要だが、その仕組みのrule of thumbsを示すものである。 第5として、内生的成長モデルの枠組みで持続可能な発展経路の可能性を考察した論文を出版した(Preference constraint for sustainable development. Environmental EEPS, Online first)。これは異時点間の代替弾力性が1より小のときのみ最適経路は持続可能となるという従来の結果を修正するものである。
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