研究課題/領域番号 |
23330069
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研究機関 | 大東文化大学 |
研究代表者 |
竹永 進 大東文化大学, 経済学部, 教授 (00119538)
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研究分担者 |
天野 光則 千葉商科大学, 商経学部, 名誉教授 (20049943)
赤間 道夫 愛媛大学, 法文学部, 教授 (30175781)
伊藤 武 大阪経済大学, その他部局等, 名誉教授 (40066816)
平子 友長 一橋大学, 社会(科)学研究科, 教授 (50126364)
窪 俊一 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (50161659)
大谷 禎之介 法政大学, その他部局等, 名誉教授 (70061132)
鳥居 伸好 中央大学, 経済学部, 教授 (70217587)
高畑 明尚 琉球大学, 法文学部, 准教授 (70274876)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アムステルダム / ベルリン / モスクワ / 貨幣恐慌 / 金融危機 / 抜粋ノート / 新メガ / マルクス |
研究概要 |
本科研費プロジェクトの2年度目にあたる本年度は、新メガ第IV部門第19巻に収録されることとなっているマルクスの抜粋・抜き書きノート全8冊のうち、およそ半分の量を含む4冊のノート(抜粋帳B101、切り抜き帳P001,P002,P003)の電子テキスト化を行うことを目標に年間事業計画を立てた。これらのノートはいずれも1860年代末にマルクスが1866-67年のヨーロッパで発生した恐慌を、主として貨幣・金融の側面から研究するための基礎資料として新聞紙や研究書からの関連記事を集めるために作成したものである。テキスト化の前提としてすでに前年度までに基本的に作業を終えていた、マルクスのオリジナルノートのデジタル画像化、1930年代の旧ソ連で進められていた解読作業の成果を盛り込んだ解読原稿の点検、そして、マルクスが抜粋・切り抜きを作成する元となった当時の新聞のオリジナルのコピー・画像データ収集、これらを前提として、研究分担者および外部の研究協力者に作業を割り振り上記の目標を達成すべく努力した。年度内に9月と3月に二度全国会議を開催し作業状況の確認や問題点についての討論を行った。 また、年度当初には予定していなかったノートB105についても、上記の他のノートと同様にすでにテキスト作成の前提となる資料が整っていたので、科研費補助金の一部を充当してベルリンのドイツ人ネイティブのメガ編集専門家に依頼してテキストの作成を行った。 マルクスのオリジナルノートの約三分の二を所蔵するアムステルダムの社会史国際研究所に研究分担者の一人を派遣し約2週間かかってオリジナルノートの状態の詳細(ノートの保存状態、紙質、すかし、デジカメ画像に鮮明に表れていない書き込みの細部、等)を再度点検し、作成するテキストの正確さを高めるためのデータの収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述のように本年度は編集作業の基本目標となるテキストの約半量の作成を済ませることを当初の目標としていたが、作業分担者間でのテキスト作成作業についての了解に十分な統一がとれておらず、年度末に行った全国会合の場に提出された作業成果には若干の不揃いが残されており、これを解消してテキストを統一かし完成させるという作業が次年度(第3年度)に持ち越されることになった。また、ノートB101の約四分の一に相当するThe Economist紙からの抜粋部分のテキスト化が担当者により予定通りなされていなかったことが年度末になって判明し、この作業も第3年度目に持ち越されることとなり。第3年度目にはテキストの残りの半分のテキスト化を行い、もって本科研費プロジェクトで予定されている編集作業の基本を完了させるという、当初の計画の完遂のために第3年度はいっそうの努力が必要とされる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は昨年度に予定されていた作業の若干部分が持ち越されているが、にもかかわらず年度末までにはテキスト作成作業の全体を終えることを期す。そのために、ベルリンのドイツ人ネイティブの専門家からも従来以上の助力を得てテキスト化を推進し、昨年と同様、本科研費プロジェクトの関係者を全国から招集して年間2回にわたる会合をもち問題点や作業の遅れがあれば早期に対策を講じることにしたい。 本科研費補助は来年度をもって終了の予定であるが、今年度から最終年度にかけては、テキスト作成を主体とする編集作業から作成されたテキストをわれわれ自身が研究し、マルクスの経済理論・思想を彼の刊行された著作・草稿・書簡そして抜粋ノートという多方面からのアプローチによって解明する研究の成果をあげることに重点を移行させていく。 また、最終年度には現在ドイツやロシアをはじめ世界の諸国で国際的な協力の下に進められている新メガの編集作業について、その成果や問題点、作業によってえられた新たな知見、これらについて意見・情報を交換し討論するための国際コンファレンスを日本国内で開催する予定であるが、このための準備を第3年度目から開始する予定である。
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