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2012 年度 実績報告書

1860年代末のマルクスの信用と恐慌の研究について(抜粋ノートの編集とその活用)

研究課題

研究課題/領域番号 23330069
研究機関大東文化大学

研究代表者

竹永 進  大東文化大学, 経済学部, 教授 (00119538)

研究分担者 天野 光則  千葉商科大学, 商経学部, 名誉教授 (20049943)
赤間 道夫  愛媛大学, 法文学部, 教授 (30175781)
伊藤 武  大阪経済大学, その他部局等, 名誉教授 (40066816)
平子 友長  一橋大学, 社会(科)学研究科, 教授 (50126364)
窪 俊一  東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (50161659)
大谷 禎之介  法政大学, その他部局等, 名誉教授 (70061132)
鳥居 伸好  中央大学, 経済学部, 教授 (70217587)
高畑 明尚  琉球大学, 法文学部, 准教授 (70274876)
研究期間 (年度) 2011-04-01 – 2015-03-31
キーワードアムステルダム / ベルリン / モスクワ / 貨幣恐慌 / 金融危機 / 抜粋ノート / 新メガ / マルクス
研究概要

本科研費プロジェクトの2年度目にあたる本年度は、新メガ第IV部門第19巻に収録されることとなっているマルクスの抜粋・抜き書きノート全8冊のうち、およそ半分の量を含む4冊のノート(抜粋帳B101、切り抜き帳P001,P002,P003)の電子テキスト化を行うことを目標に年間事業計画を立てた。これらのノートはいずれも1860年代末にマルクスが1866-67年のヨーロッパで発生した恐慌を、主として貨幣・金融の側面から研究するための基礎資料として新聞紙や研究書からの関連記事を集めるために作成したものである。テキスト化の前提としてすでに前年度までに基本的に作業を終えていた、マルクスのオリジナルノートのデジタル画像化、1930年代の旧ソ連で進められていた解読作業の成果を盛り込んだ解読原稿の点検、そして、マルクスが抜粋・切り抜きを作成する元となった当時の新聞のオリジナルのコピー・画像データ収集、これらを前提として、研究分担者および外部の研究協力者に作業を割り振り上記の目標を達成すべく努力した。年度内に9月と3月に二度全国会議を開催し作業状況の確認や問題点についての討論を行った。
また、年度当初には予定していなかったノートB105についても、上記の他のノートと同様にすでにテキスト作成の前提となる資料が整っていたので、科研費補助金の一部を充当してベルリンのドイツ人ネイティブのメガ編集専門家に依頼してテキストの作成を行った。
マルクスのオリジナルノートの約三分の二を所蔵するアムステルダムの社会史国際研究所に研究分担者の一人を派遣し約2週間かかってオリジナルノートの状態の詳細(ノートの保存状態、紙質、すかし、デジカメ画像に鮮明に表れていない書き込みの細部、等)を再度点検し、作成するテキストの正確さを高めるためのデータの収集を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

上述のように本年度は編集作業の基本目標となるテキストの約半量の作成を済ませることを当初の目標としていたが、作業分担者間でのテキスト作成作業についての了解に十分な統一がとれておらず、年度末に行った全国会合の場に提出された作業成果には若干の不揃いが残されており、これを解消してテキストを統一かし完成させるという作業が次年度(第3年度)に持ち越されることになった。また、ノートB101の約四分の一に相当するThe Economist紙からの抜粋部分のテキスト化が担当者により予定通りなされていなかったことが年度末になって判明し、この作業も第3年度目に持ち越されることとなり。第3年度目にはテキストの残りの半分のテキスト化を行い、もって本科研費プロジェクトで予定されている編集作業の基本を完了させるという、当初の計画の完遂のために第3年度はいっそうの努力が必要とされる。

今後の研究の推進方策

本年度は昨年度に予定されていた作業の若干部分が持ち越されているが、にもかかわらず年度末までにはテキスト作成作業の全体を終えることを期す。そのために、ベルリンのドイツ人ネイティブの専門家からも従来以上の助力を得てテキスト化を推進し、昨年と同様、本科研費プロジェクトの関係者を全国から招集して年間2回にわたる会合をもち問題点や作業の遅れがあれば早期に対策を講じることにしたい。
本科研費補助は来年度をもって終了の予定であるが、今年度から最終年度にかけては、テキスト作成を主体とする編集作業から作成されたテキストをわれわれ自身が研究し、マルクスの経済理論・思想を彼の刊行された著作・草稿・書簡そして抜粋ノートという多方面からのアプローチによって解明する研究の成果をあげることに重点を移行させていく。
また、最終年度には現在ドイツやロシアをはじめ世界の諸国で国際的な協力の下に進められている新メガの編集作業について、その成果や問題点、作業によってえられた新たな知見、これらについて意見・情報を交換し討論するための国際コンファレンスを日本国内で開催する予定であるが、このための準備を第3年度目から開始する予定である。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (7件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] 「流通過程および再生産過程の実体的条件」とはなにかーー『資本論』第2部形成史の一齣ーー2013

    • 著者名/発表者名
      大谷禎之介(単著)
    • 雑誌名

      立教経済学研究

      巻: 第66巻第4号 ページ: 1-26

  • [雑誌論文] (翻訳)リュドミーラ・ヴァーシナ「イ・イ・ルービンと草稿「マルクス貨幣論概説」2013

    • 著者名/発表者名
      竹永 進(単著)
    • 雑誌名

      東経大学会誌(東京経済大学経済学会)

      巻: 第277号 ページ: 269-299

  • [雑誌論文] 新MEGA(マルクス・エンゲルス全集)ーーその編集・刊行状況と日本人研究者の参画ーー2012

    • 著者名/発表者名
      赤間道夫(単著)
    • 雑誌名

      経済(新日本出版社)

      巻: 第200号 ページ: 107-110

  • [雑誌論文] 「現代社会」の変革のための「資本の一般的分析」2012

    • 著者名/発表者名
      大谷禎之介(単著)
    • 雑誌名

      季報・唯物論研究

      巻: 第120号 ページ: 80-90

  • [雑誌論文] マルクスの「日本研究」についてーーヘルマン・マロンからの「抜粋ノート」紹介ーー2012

    • 著者名/発表者名
      天野光則(単著)
    • 雑誌名

      マルクス・エンゲルス・マルクス主義研究

      巻: 第54/55号 ページ: 93-126

  • [雑誌論文] 『資本論』体系における価値理論の展開ー1860年代マルクスの理論形成連鎖と構想転換連鎖を中心としてー2012

    • 著者名/発表者名
      鳥居伸好(単著)
    • 雑誌名

      商学論纂(中央大学商学研究会)

      巻: 第54巻3・4合併号 ページ: 583-617

  • [雑誌論文] 新メガ第IV部門第19巻とその編集2012

    • 著者名/発表者名
      竹永 進(単著)
    • 雑誌名

      マルクス・エンゲルス・マルクス主義研究

      巻: 第54/55号 ページ: 127-137

  • [学会発表] Das Kapital im Selbstverstaendnis von Marx

    • 著者名/発表者名
      Teinosuke Otani
    • 学会等名
      Die oeffentliche Tagung: Das Kapital von Karl Marx, Zur vollendeten Edition eines unvollendeten Projektte
    • 発表場所
      Friedrich-Ebert-Stiftung Berlin
    • 招待講演
  • [学会発表] マルクスのマウラー研究の射程―MEGA IV/18におけるマルクスのマウラー抜粋の考察―

    • 著者名/発表者名
      平子友長
    • 学会等名
      清華大学マルクス・エンゲルス文献研究センター設立式典-テキストの中での時代および新メガ研究のトップ会議
    • 発表場所
      精華大学人文学院
    • 招待講演
  • [学会発表] 新MEGA第IV部門第19巻とその編集

    • 著者名/発表者名
      竹永 進
    • 学会等名
      経済理論学会第60回大会
    • 発表場所
      愛媛大学
  • [学会発表] 『ドイツ・イデオロギー』第1章「フォイエルバッハ」章のオンライン版のコンセプトについて

    • 著者名/発表者名
      窪 俊一
    • 学会等名
      マルクス・エンゲルス研究者の会・2012年度例会
    • 発表場所
      東北大学

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公開日: 2014-07-24  

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