研究課題/領域番号 |
23330070
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 政策研究大学院大学 |
研究代表者 |
荒井 洋一 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (50376571)
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研究分担者 |
市村 英彦 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (50401196)
川口 大司 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (80346139)
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キーワード | 計量経済学 / 政策評価 / ノンパラメトリック推定 / バンド幅 / 非連続回帰分析 / 雇用保険制度 |
研究概要 |
初年度の研究においては、関数の差の推定問題におけるバンド幅の選択問題の理諭的基礎を築いた。まずノンパラメトリック分析において基本となる密度関数の差の推定問題を考えた。そこでは既存の方法としては、それぞれの密度関数を個別に推定するためのバンド幅選択の方法や恣意的な制約のもとで最適なバンド幅を選択する方法があるが、それぞれ我々が考えている非常に一般的なフレームワークの下では最適とはなり得ないことを示した。それを示すにあたり、実は最適なバンド幅という概念がうまく定義できないという問題が存在するということを発見した。 以上のような発見に基づき、既存の方法を優越する、ノンパラメトリック推定量の平均最小二乗誤差に基づくバンド幅の選択方法を提案した。ここで二つのバンド幅を無制約のもとで同時に選択するというのが我々の提案する方法の優れた部分でありまた難しい部分でもある。この方法を提案するにあたり、まず通常の平均二乗誤差に高次の項を加え、バンド幅がうまく定義されるように修正を加えた修正された平均最小二乗誤差を提案した。そして、これを最小にするようなバンド幅を選ぶ方法を提案した。この方法が非常に望ましい性質を持つことを理論的に示した。 そして、提案された方法を、より一般的な関数の差の推定問題に拡張した。さらに、非連続回帰分析への拡張も行った。非連続回帰分析においては、境界点での推定という新たな問題があり、提案された方法はそれに伴って修正されなければならないが、理論的には同様のアプローチで最適なバンド幅を選べることを示した。 また、理論研究と平行して実証分析の準備も進めた。非連続回帰分析を雇用保険制度の効果を推定する問題に用いるために就業構造調査を用いる予定であるが、この調査は膨大なデータであるためこのデータの整理、記述統計的なデータの把握を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、計画の困難な理論的研究部門とデータの整理などに時間を大量に消費する実証分析部門の二つの部門からなっているが、両部門ともおおむね計画通りに順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の研究がおおむね順調に進展しているため、今後も研究計画通りに進めて行く計画である。一定の結果が得られた時点で一つずつを論文にして行く計画である。
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