研究分担者 |
有馬 昌宏 兵庫県立大学, 応用情報科学研究科, 教授 (00151184)
金城 ふみ子 東京国際大学, 経済学部, 教授 (50275799)
新谷 正彦 西南学院大学, 経済学部, 教授 (70069706)
橋本 紀子 関西大学, 経済学部, 教授 (60198687)
周防 節雄 兵庫県立大学, 学術情報館, 教授 (90162841)
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研究概要 |
本研究の目的は,文化需要(文化芸術活動への参加及び支出)を説明するためのモデルを開発し,文化需要を規定する要因を実証的に分析することである. 諸要因を検討するために利用する主要なデータの1つは,研究分担者らが実施してきた「学生の芸術意識と芸術活動に関する調査」(学生調査)であるが,その時系列分析から得られる知見を反映することを考えている.そのために,学生調査のデータベースを,統計分析ソフトウェアでの時系列分析が可能となるようにする必要があるが,本年度は直近の調査のデータ整備(入力を含む)ならびに全体としてのデータベースの設計の検討を行った.また,直近の調査で入力が完了している10%抽出データに基づいた基本的な集計を行い,最近の大学生の芸術意識に関する分析を行った.こうした分析は,どのような観点から学生調査を総合的に分析していくのかを考える上での基礎をなすものである. さらに,より一般的に文化需要の決定要因を詳細に考察するために,「社会生活基本調査」ならびに「全国消費実態調査」のミクロデータを,今後利用する予定である.本年度はその準備段階として,コーホート等を要因として取り入れた需要モデルの先行研究を再検討するとともに,学歴や年齢,コーホートを考慮して公表データを用いた文化需要の分析を行った.また今後ミクロデータを用いることを意識して,同調査のミクロデータによる分析の先行研究についてフォローした.さらに,「家計調査」の公表データを用い,文化需要の時系列特性の分析も行い,景気変動と文化需要の関連性を明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学生調査のデータ整備に関しては,直近の調査のデータ入力を完全に終えることはできなかったが,9割程度終了し,平成24年度のはじめには終了する予定である.そして入力と並行して行った部分的なデータの実証分析から,過去の調査結果との比較など,大学生の文化需要の動向と文化需要のより一般的なモデルの作成に対して一定の知見を得ることができた. また,文化需要に応用可能な消費モデルの先行研究に関する検討を多面的に行うとともに,公表データによる分析を行い,ミクロデータの利用申請のための十分な準備をすることができた.
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今後の研究の推進方策 |
学生調査に関しては,これまでの調査を統一的に分析が可能となるようなデータベースをできるだけ早い段階で完成させ,さらにこれまでの調査を総括し,とりまとめを行う方向性を研究会を通じて議論する. また文化需要のモデルを推定するための集計方針を明らかにし,必要なミクロデータの申請を行う.審査等に時間がかかるなど申請が間に合わない場合は,公表データを用いた分析を行う,あるいはオーダーメード集計なども視野に入れる.
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