研究課題/領域番号 |
23330078
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
飯塚 敏晃 東京大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (00406810)
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キーワード | 医療経済 / 医師不足 / 医師偏在 / 臨床研修制度 / 国際研究者交流 |
研究概要 |
近年我が国においては、医師の偏在・医師不足が大きな社会的問題として取り上げられてきた。本研究では、これに関し、医師調査個票データを用いた実証分析を行う。第一に、医師の長期パネルデータと動学的モデルを用い、医師が、地域間移動、 開業、退職等のキャリア選択を如何に行い、どのような要因が意思決定に影響を及ぼすか、構造推定する。また推定したモデルを用い、医師偏在の解消に向けた制度・政策の効果を仮想的に検討する。第二に、医師の不足や偏在が、医療のアウトカム(死亡率など)等にどのような影響を及ぼしているか推定する。 本年度は以下の研究を実施した。 1. データの取得・基礎分析:厚生労働省の医師調査個票を目的外利用申請し、医籍番号に基づき医師レベルの長期パネルデータを作成した。また、市町村レベルの医療関連データ、および医療施設レベルの関連データの作成も並行して行った。また、これらのデータの検証・分析に着手し、データから観察される基礎的事実の把握を行い、推計モデルの妥当性を検討した。 2. 医師が大学での教育を終えた後、毎年毎年、どの地域でどの様な形態(勤務医又は開業医)で働き、どの時期に退職するかという選択を行うような動学的離散選択モデルの構築に着手した。 3. 誘導系の固定効果モデルの構築に着手した。特に、医師数及びその集約度が医療のアウトカム(死亡率)に及ぼす影響に関し、モデルの考察を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
厚生労働省に対し、医師調査等の個票データを統計法に基づき開示請求したが、想像以上に開示に時間がかかり、研究着手が遅延した。また、個票データは東京大学の飯塚研究室内でしか使用できないが、データ入手が遅れたことで、研究協力者であるノースウエスタン大学の渡辺教授の来日予定の調整が難しくなり、来日が当初予定より遅れたため、計画に遅延が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
来年度も本年度に引き続き、厚生労働省の医師調査個票を目的外利用申請し、統計法に基づくデータの開示を受けたい。また、二つの研究課題のそれぞれに関し、モデルの構築と推計を進めていく。また、本年度同様、海外の共同研究者に来日いただき、二つの研究課題を着実に進めていきたい。
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