研究概要 |
当該年度における研究成果は以下のものである. ・貿易障壁が技術スピルオーバーに及ぼす影響に関する研究 多国間貿易自由化や地域的経済統合が技術スピルオーバーに与える影響に関して,主に国連のデータ・ベースを加工したBACIデータと米国特許庁のデータを用いて実証分析を行った.暫定的な分析結果については,それを2011年8月に小樽商科大学で開催された国際ワークショップで研究報告を行うとともに,ディスカッション・ペーパー(Kyoto University,Graduate School of Economics,Research Project Center Dis6ussion Paper Series,E-11-006)にまとめた.加えて経済的距離が拉術スピルオーバーに及ぼす影響に関する先行研究のサーベイを行い,理論的分析枠組みについて検討した. ・FDIのタイプ・特性と技術スピルオーバーに関する研究 FDIと技術スピルオーバーの関係を説明できる理論モデルを構築して,予備的な分析を行った.また,日本の多国籍企業の活動様式と特許引用データによって測定される技術スピルオーバーとの関係について実証分析を行うために,経済産業省の『海外事業活動基本調査』と『企業活動基本調査』の個票データの利用許可を取得し,データの整備と予備的な分析を行った.分析結果については東京大学や京都大学等のセミナーで研究報告を行い,専門研究者等から有益な助言を得た. 我々の研究は企業活動のグローバリゼーション並びにFTA・EPA等の域内自由化と技術スピルオーバーの関係を実証的に分析してもので,今後の産業政策の在り方に示唆を与える.
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今後の研究の推進方策 |
・貿易障壁が技術スピルオーバーに及ぼす影響に関する研究では,平成23年度の研究成果を踏まえて,平成24年度は理論モデルの構築を行うとともに,分析データを充実化させて実証研究を発展させていく. ・FDIと技術スピルオーバーに関する研究では,本研究課題の交付が年度毎になっているのに伴い,実証分析に必要な経済産業省の調査の個票データについても年度毎にしか利用許可が得られないため,平成24年度も継続してデータが利用できるように手続きを行い,平成23年度には十分な分析ができなかった点について更に解析を行っていく.また,理論モデルの拡張を行い,理論分析の進展を図っていく.
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