研究課題/領域番号 |
23330087
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
東田 啓作 関西学院大学, 経済学部, 教授 (10302308)
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研究分担者 |
神事 直人 京都大学, 経済学研究科, 准教授 (60345452)
馬奈木 俊介 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (70372456)
武智 一貴 法政大学, 経済学部, 准教授 (80386341)
黒田 知宏 名古屋学院大学, 経済学部, 准教授 (60377059)
服部 圭介 大阪経済大学, 経済学部, 准教授 (50411385)
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キーワード | 環境規制 / 所有権 / 市場構造 |
研究概要 |
・ リサイクル関連規制 中古家電・廃家電、E-waste、および古紙の回収システムと市場構造についても資料収集を行った。結果として、最終財市場において寡占度が高い場合、それらの企業の費用の差が規制の効果(リサイクル量、厚生)に影響を与える可能性が大きいことを把握した。このため、限界費用に差がある場合の寡占市場分析の理論のサーベイを進めた。また、最終財市場、リサイクル市場の双方において価格支配力を持つ構造の分析を進めるために、multi-marketoligopolyのサーベイを行った。 ・ 安全基準・広告規制 農薬について、農薬要覧を収集し、1960年代以降の農薬生産、市場、安全基準の動きに関する資料を整えた。また、1940~50年代の農薬特許などについても、資料の収集を行った(『農薬のあゆみ』など)。食品規制に関連して広告規制についての理論研究を進めた。広告の厚生効果については、たとえmisinformationであっても市場構造によっては構成が高まることを明らかにした。また、製品の品質に差がある場合には、minimum quality standardの強化が逆に厚生を低下させることを明らかにした。 ・ 総量規制 漁業者のリスクに対する反応については、大震災直後の混乱のためフィールド調査は延期した。代わりに、魚価が不確実な場合に、譲渡可能な漁獲割当スキームが機能するかどうかについての経済実験を行いデータを取得した。魚価が不確実な場合にもスキームは機能するものの、技術(漁船)選択が歪むことを明らかにした。また、生物多様性のオフセット制度(総量規制の一種)についても経済実験を行って分析を進めた。「開発権」の市場取引が機能することを明らかにし、また環境価値が異なる複数の地域間の取引について、仲介者の存在が重要であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度は、主に資料収集と理論フレームワークの構築を目的としていた。フィールド調査は遅れているものの、逆に経済実験によるデータ取得、および不確実性が存在するもとでの漁獲割当市場の分析は、予定よりも早く進行している。 また、理論のフレームワークについても、リサイクル規制についてはベースとなる既存研究に関するサーベイを進めることができ、さらに食品安全に関連する広告規制についてはすでに2本の論文(DP)が完成している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、理論モデルを構築し、理論分析の論文を完成させていく。これは、リサイクル規制、および食品安全規制、排出量取引の3分野ともに進めていく。 また、現実の制度に関する調査が若干遅れているため、これについてもなるべく早い段階で進め、それを理論分析や実証分析に反映させていく。 研究計画の変更ではなく、より発展させるために、引き続きmisinformationと広告規制の分析にも取り組んでいく。この分析結果は、責任制度が重要になってくる健康・環境分野に対して大きく貢献できると考える。
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