研究課題/領域番号 |
23330087
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
東田 啓作 関西学院大学, 経済学部, 教授 (10302308)
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研究分担者 |
服部 圭介 大阪経済大学, 経済学部, 准教授 (50411385)
神事 直人 京都大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (60345452)
黒田 知宏 名古屋学院大学, 経済学部, 准教授 (60377059)
馬奈木 俊介 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (70372456)
武智 一貴 法政大学, 経済学部, 准教授 (80386341)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 環境規制 / 所有権 / 市場構造 |
研究概要 |
平成25年度の研究実績は以下のとおりである。 ①リサイクル関連規制:中古品の貿易が存在するもとで、リサイクル規制を含むリサイクル関連政策が輸出国・輸入国双方にどのような影響を与えるかを分析した論文を執筆し、複数のコンファレンスで報告を行った。また、違法輸出を含む廃棄物の貿易が存在するもとでの最適なリサイクル政策を求めた論文を執筆し、研究図書の1つの章として出版した。さらに、廃棄物貿易の要因を求めた実証分析の論文を出版した。全体として、貿易が存在するもとでのリサイクル規制の効果を明らかにすることができた。 ②食品関連規制:(a)製品差別化が行われており、(b)企業が誤情報を発信する状況において、品質基準がどのような厚生効果をもたらすかについての論文を完成させ、すでにレフリージャーナルにアクセプトされている。4月になってからのアクセプトのため、平成26年度の最終報告の段階で業績に追加する予定である。また、立証責任制度の在り方が企業行動や厚生にどのような影響を与えるかについての理論分析も進めており、7月にコンファレンスで発表予定である。 ③総量規制:譲渡可能な漁獲割当が漁船規模の選択にどのような影響を与え、結果としてこの制度が機能にどのような効果を持つかについて、実験に基づいた論文がアクセプトされた。4月になってからのアクセプトのため、平成26年度の最終報告の段階で業績に追加する予定である。 ④市場構造:すべての規制の分析にとって極めて重要なポイントである「市場構造や競争構造が企業の戦略的行動や価格にどのような影響を与えるか」についての分析を発展させた。技術革新、価格コミットメント、製品差別化など現実に一般的に見られる変化・要因を取り入れて、複数の理論分析、実証分析の論文を出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実績のところで記載した通り、リサイクル規制、食品関連規制、総量規制のそれぞれにおいて研究が進展し、アウトプットを出すことができている。 また、市場構造と企業行動の解明も進んでおり、それに関するアウトプットも出すことができている。これらは平成26年度の規制の分析に生かすことができるものである。 このため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は以下のとおり研究を進めていく。、特に、最終年度であるため、これまでにすでに執筆を開始している論文の報告・出版を行っていく。 ①リサイクル関連規制:multi-market oligopolyの状況におけるリサイクル関連規制の効果に関して、理論分析を行う。また、中古品やスクラップの貿易を考慮に入れ、リサイクル規制だけでなく貿易政策を含めた政策の効果を考察する。 ②食品関連規制:高品質財への規制・認証制度に関する理論分析を行う。また、誤情報に関する立証責任の在り方と企業行動や厚生の関連についての分析を行い、コンファレンスで報告を行っていく。 ③総量規制:譲渡可能な漁獲割当については、漁業者の漁船の規模選択に関する理論分析を行う。また、被験者(漁業者)の合理性について実験データを用いた分析を論文にまとめる。さらに、生物多様性に関する規制であるオフセットメカニズムに関する実験データを分析した論文を完成させる。排出量取引については、平成25年度の進捗が少し遅れているため、引き続き寡占市場を想定した制度導入の効果の分析を進める。 ④市場構造と所有権制度:環境規制の効果に影響を与える重要なファクターである市場構造や所有権制度の解明を引き続き進める。市場構造については、引き続き企業の戦略的行動の分析を進める。所有権制度ついては、知的所有権制度の分析を行っていく。特にこの制度(長さ、幅など)が貿易、および貿易を行っている国々の厚生にどのような影響を与えるのか、およびこの制度が技術導入にどのような影響を与えるのかといったことを中心に分析を進めていく。
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