研究課題/領域番号 |
23330089
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
雲 和広 一橋大学, 経済研究所, 准教授 (70314896)
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研究分担者 |
五十嵐 徳子 天理大学, 国際学部, 准教授 (80294156)
道上 真有 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (30527693)
武田 友加 一橋大学, 経済研究所, 講師 (70376573)
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キーワード | ロシア / 出生率 / ミクロデータ / 家庭内分業 / ジェンダー / 労働市場 / 住宅環境 |
研究概要 |
平成23年度は(1)機関・研究グループ単位での利用を可能としたロシア長期モニタリング調査Russia Longitudinal Monitoring Surveys(RLMS)個票の獲得、(2)文献調査を中心とする出生要因の再精査、が最初の課題であり、続いて(3)分析に導入するデータの選択とモデル設定・試論的分析を行うこと、が主題であった。研究支援者の助力も得てRLMS個票は速やかに獲得を実現し、引き続き文献調査を鋭意進めた。ロシアの人口動態に関わる文献250余編を精査し、分析に導入すべき変数の特定に踏み込むことが出来た。 分析に説得力を持たせるための現地調査として、これまでに培ったロシア科学アカデミー地理学研究所・同社会政策研究所(共に在モスクワ)、そしてロシア科学アカデミー極東支部太平洋地理学研究所(在ウラジオストク)・同経済研究所(在ハバロフスク)、加えてロシア科学アカデミーウラル支部経済研究所(在エカテリンブルク)とのネットワークを生かし、プロジェクトメンバー全員によるロシア連邦ペテルブルク市・モスクワ市での幼稚園等育児支援施設並びに女性保護施設(危機センター)の調査を行ったほか、ロシア連邦エカテリンブルクでの育児支援施設・家庭内労働軽減に寄与する老人介護施設の調査を実施出来た。これにより、ソ連時代とは異なる労働環境と育児環境の特定が可能となり、モデルの説得力を高めることが見込まれる。 さらに我々は、調査と平行して当該主題に関わる分析にも踏み込み、その成果の一部を既に学術図書や学術雑誌所収論文として公開し、また国際学会や研究会等の場で、研究者や一般市民に向けて発信することも行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の研究計画では、成果を生み出すことは第二年度目である平成24年度以降のものと想定していた。しかしながら、重層的な文献調査や繰り返し実施した現地調査、そして現地研究機関・育児支援機関の方々から得られた協力により、予想以上に研究は進んだ。平成23年度はプロジェクト初年度でありながら、数多くの学術図書所収論文や雑誌論文の発表も実現し、半数近くが招待講演と位置づけられる学会報告等も多数行った。これらは、当初の研究計画を大幅に上回る成果であると評価し得る。
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今後の研究の推進方策 |
本研究プロジェクトは、当初の計画目標をも超えて目覚ましい進展を見せている。今後も、研究計画の基本的な目標や枠組みを維持しつつ、更なる研究成果の実現に努めたいと考える次第である。
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