研究課題/領域番号 |
23330089
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
雲 和広 一橋大学, 経済研究所, 教授 (70314896)
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研究分担者 |
道上 真有 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (30527693)
武田 友加 一橋大学, 経済研究所, 講師 (70376573)
五十嵐 徳子 天理大学, 国際学部, 准教授 (80294156)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ロシア / 人口 / 出生 / ミクロデータ / ジェンダー |
研究概要 |
本プロジェクトはロシアの家計調査データの個票を利用しロシアにおける出生の規程要因を抽出・特定することが最大の課題である.その進行は下記の段階を踏む.即ち,(1)機関・研究グループ単位での利用を可能とした契約によるロシア長期モニタリング調査Russia Longitudinal Monitoring Survey個票の獲得;(2)文献調査を中心とする出生要因の再精査;(3)データの作業用クリーニング;(4)試論的モデルの設定と分析;(5)マクロ・セミマクロデータによる整合性のチェック;(6)社会学的調査によるデータの補強;(7)分析モデルの再構築と再度の分析;(8)成果のとりまとめと公表,という8段階であり,結果の獲得までには(4)~(6)の段階を繰り返すが,必要に応じて(3)のデータクリーニングに立ち戻ることにもなる. 第2年度目である平成24年度は,試論的モデル設定から最終的な分析モデル構築に向けた段階にあった.第1年度(平成23年度)後半の作業を継続すると共に,ミクロデータから得られた情報がマクロレベルのデータと一致するのか否かを十全に検討した.さらに大規模データによる分析の説得性を補完するべく,社会学的なミクロヒストリー調査を行った.Ryazantsev氏(海外研究協力者:ロシア科学アカデミー社会政策研究所)らと共に,女性協力者をインタビュアとして実施した.それと並行してミクロデータ分析も鋭意進めた.可能な限りモデルの特定化を進め,より説得力のある出生規定要因の抽出を行った.ここまでの研究を踏まえ,分野毎の成果をいくつかの学術論文に集約した.また中間的成果に基づき国内外での学会報告並びに学術誌への投稿・刊行を実現した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
「研究実績の概要」でも述べた通り,作業は当初計画に従って順調に進展している。また未着手ないし分析不十分な論点に関する独自の実証研究は大いに進行し,プロジェクト第2年度でありながら,学術図書1点,雑誌論文及び図書所収論文18点(内,査読付論文10点)の発表も実現した上,かかる研究成果の学術図書及び学術誌上の公表に加えて,日本及び諸外国において,招待講演2件を含む全8件の研究報告も行った。 以上から,おおむね順調に進行しており,一方,研究チーム独自の実証研究は,当初の目標をも大幅に上回る勢いで,研究成果を挙げつつあると評価することができる。
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今後の研究の推進方策 |
本プロジェクトはロシア長期モニタリング調査(Russian Longitudinal Monitoring Survey, RLMS)のデータ分析を基盤として進めているものである.それを重層的なものとするため,調査項目により具体性を持たせるための社会学的調査を平成24年度に実施した.さらにジェンダー論・労働経済学・資産分析・数理人口学という4分野からのアプローチを採り,それらを統合することでロシアにおける出生規定要因の総合的理解を可能とする.文献調査と試論的分析,分析モデルの精緻化と社会学的調査による論点の補完,そして分析の完成と研究成果の集約並びに公表とを旨とする.これまで培ってきた海外研究協力者及び海外研究機関と協働し,これら作業を研究代表者及び研究分担者3名の合計4名からなる研究グループを中心として推進することを意図している. 最終年度である平成25年度は分析モデルの再構築と再分析とを行い,モデルの完成と成果とりまとめ・公表とを行う段階である.本プロジェクト各分野の結果を統合し,ロシアにおける出生規定要因の総合的検討を完了させる.また平成24年度までに実施したミクロヒストリー分析の結果によって本体としての大規模ミクロデータ計量分析の論点を補完し,主たる分析結果の説得力を強調する.成果は可能な限りの論文化を行うとともに国際学術誌への投稿を行う.さらに欧州比較経済学会・北米スラブ東欧研究振興連合会大会などでの成果の公表を行う.それらにより得られたコメントや改善への示唆等を参照し,一連の成果を再検討の上で集約物としての単行本出版を企画する.
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