研究課題/領域番号 |
23330093
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研究機関 | 公立はこだて未来大学 |
研究代表者 |
川越 敏司 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (80272277)
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研究分担者 |
安田 洋祐 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (70463966)
瀧澤 弘和 中央大学, 経済学部, 教授 (80297720)
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キーワード | 学校選択制度 / ゲーム理論 / 実験経済学 / マッチング理論 |
研究概要 |
本研究では、学校選択制度メカニズムのデザインについて、マッチング理論と実験経済学による研究を行っている。公立小中学校における学校選択制度に関して、わが国でも東京都を始めとして導入が進んでいるが、導入されているメカニズムでは生徒に真の選好を偽る誘因があり、効率的な配分をもたらさないため、そうした欠陥を改善するメカニズムを理論と実験の双方から検討を行った。 受け入れ保留方式やボストン方式など、従来から用いられている学校選択制度メカニズムの諸方式についての研究をふまえて、東京都で採用されている東京方式の問題点を洗い出し、その欠陥を改善した新東京方式を提案し、その性質を理論的に分析してきた。 さらに、この分析をもとに、東京方式やそれを改善した新東京方式について、被験者を募集して予備的な実験を実施した。その成果は実験経済学の専門学会Economic Science Associationにおいて発表した また、この実験に先立ち、マッチング理論に基づいた均衡を計算する計算プログラムを開発した。なお、計算プログラムは実験における均衡計算だけではなく、実験後、実験データをブートストラップ法でシミュレーションしていくためにも用いることができる。 昨年度におけるこうした準備の下、本年度は研究論文としてまとめていくために、本格的な実験を行う。その際、実験で得られたデータをもとにコンピュータによる数値計算を行い、参加人数・生徒の選好や学校側の優先順位などのパラメータ・実験の繰り返し回数などの要因を適切なものに同定した上で、東京方式やそれを改善する新東京方式について基礎的な法則性を見出していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画で予定した東京都の学校選択制度について、ゲーム理論によるモデル化に成功し、重要ないくつかの性質を導けていると共に、マッチング計算のプログラムも完成し、予備的実験の結果もおおむね理論の予想を支持しているため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の成果を踏まえ、本年度は研究論文としてまとめていくために、本格的な実験を行う。その際、実験で得られたデータをもとにコンピュータによる数値計算を行い、参加人数・生徒の選好や学校側の優先順位などのパラメータ・実験の繰り返し回数などの要因を適切なものに同定した上で、東京方式やそれを改善する新東京方式について基礎的な法則性を見出していく予定である。実験自体は研究代表者と研究分担者の大学でそれぞれ分担して実施する。 その上で、理論研究として、特別な入学枠を設置するといった積極的差別是正処置を導入した場合の効果についても検討を行い、生徒全体の厚生を下げることなく、特別な配慮が必要な生徒を優先的に入学させることが可能になる条件を同定することを目指す。
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