研究課題
本年度は、暮石渉氏(国立社会保障・人口問題研究所)と殷氏(独立行政法人経済産業研究所)が、「退職後の消費支出の低下」について研究し、その成果はDP並びに学術雑誌に掲載された。また、暮石渉氏、殷氏、若林緑氏(東北大学)は、中国のマイクロデータを用いて、「主観的な所得の予想を使った恒常所得仮説の検証」を行い、学会で発表した。そして、暮石渉氏は、「時間非整合性と晩産との関係」の実証分析を行い、学会で発表した。さらに、殷テイ氏は、川田恵介氏(広島大学)と許召元氏(中国国務院発展研究中心企業研究所)と共同で、介護労働者の賃金関数の推定を行い、その成果を、コンファレンスで発表し、また、DPに掲載した。また、殷氏は、近刊の『中国年鑑2015』の『要覧・統計 社会保障・医療制度』の一節を担当した。マッケンジー氏(慶応義塾大学)と坂田氏(立命館大学)は、将来の介護負担と子の質との関係について実証分析を行い、学会で発表し、学会のプロシーディングスに掲載された。また両氏は、出産数と将来の介護負担の関係を分析し、学術雑誌に投稿した際にいただいたレフェリーのコメントに基づき、再投稿の準備を進めている。さらに、両氏は、成人した未婚の子との同居が親の満足度に与える影響について分析し、その成果が書籍の一章に掲載される予定である。関田氏(京都産業大学)は、貯蓄計画と過重債務確率との関係について実証分析し学術雑誌への投稿の準備を進めている。また、関田氏は、小川一夫氏(大阪大学)と共同で、年金制度改革が老後不安に与える影響について実証分析を行い、その成果が学術雑誌に掲載される予定である。メンバー共同で行った活動内容としては、立命館大学(大阪キャンパス)にて研究会を実施し各自が研究論文を報告し活発に議論を行った。その際、梶谷真也氏(明星大学)・玉田桂子氏(福岡大学)にも参加して頂き多くのコメントを頂戴した。
2: おおむね順調に進展している
交付申請書に記載した「研究の目的」に基づき、様々な学会・コンファレンス等で発表を行い、国内外に情報を発信している。その都度、新しい知見・コメントを得、それをもとに論文を改訂している。暮石氏・殷氏が分析した退職後の消費支出の低下についての考察、坂田氏・マッケンジー氏が分析した子の「質」と将来の介護負担の関係についての論文、および、関田氏が小川氏(大阪大学)と共同研究を行った年金制度改革と老後不安についての論文は、学術雑誌に既に掲載されているか、掲載されることが決定されている。さらに、坂田氏とマッケンジー氏が分析した成人した未婚の子との同居が親の満足度に与える影響に関する論文は、書籍の一章に掲載されることが決まっている。上記以外の論文も、学術雑誌への投稿に向けて準備しているか、雑誌のレフェリーのコメントをもとに再投稿の準備をしているかであり、研究計画にしたがって、おおむね順調に進展しているといえる。
若林氏・暮石氏は、行動経済学と貯蓄行動との関係を分析する。また、ドイツの貯蓄に関して最新データを用いて、より厳密な計量モデルを立て込んで分析を行うと同時に、最新の関係文献をサーベイする。殷氏は、現在進行中の中国の貯蓄に関する研究について、最新データを使って更なる厳密な計量モデルを用いて分析し、また、関係文献のサーベイを行う。坂田氏とマッケンジー氏は、出産数と将来の介護負担の関係を分析した論文について改定作業が終了し次第、海外学術雑誌に投稿し掲載を目指す。また、出産と母親の労働市場への復帰の関係について分析を進め、国内外の学会で報告する。関田氏は、現在進行中の貯蓄計画と過重債務確率についての実証分析をさらに進め、学術雑誌への投稿の準備を進める。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (7件) 図書 (2件)
季刊家計経済研究
巻: Winter No.105 ページ: 13-25
RIETIディスカッション・ペーパー
巻: 15-J-001 ページ: 1-32
巻: 未定 ページ: 未定
季刊社会保障研究
巻: 51 ページ: 未定
Kumar R. (ed.), Proceedings of the International Conference on Future Trends In Management, Economics and Human Behavior Study (FTMEHBS), 03-04 May, 2014, Bangkok, Thailand, ISBN: 978-1-63248-018-7
巻: ISBN: 978-1-63248-018-7 ページ: 29-33
-10.15224/978-1-63248-018-7-26