研究課題/領域番号 |
23330095
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
宅間 文夫 明海大学, 不動産学部, 准教授 (80337493)
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研究分担者 |
安藤 朝夫 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (80159524)
浅田 義久 日本大学, 経済学部, 教授 (70299874)
伊藤 亮 名古屋市立大学, 経済学研究科(研究院), 講師 (30516000)
清水 知佳 山梨学院大学, 法学部, 講師 (10585243)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 土地利用外部性 / 用途地域 / 最適な土地利用 / 工業用途用地の外部費用 / 密集市街地の外部費用 |
研究概要 |
25年度は,以下の3つの研究テーマに取り組んだ. 1.土地利用外部性に関する理論的・実証的研究:土地利用は住居系,商業系,工業系に大別され,土地利用外部性が相互に発生すると考えられる.本年度は,土地利用外部性の発生地として住居地域・工業地域に関する研究を主に進めた.(1)宅間・浅田は,木造住宅密集地区がその他地区にもたらす負の外部性が悪循環的な内生性を持つと考えて同時方程式の枠組みで分析を進め,(2)伊藤・宅間は,伊藤・宅間(2012)で正と負の二つの外部性が存在する場合の外部費用の推計手法を開発したが,同手法が通常のヘドニック推計と異なり汎用性に欠けるため,ランダム付け値理論を援用して非工場労働者の付け値関数を工場労働者と分離して推定する手法を検討した.また,(3)安藤・宅間は,住居系・商業系・工業系の土地利用外部性の相互作用を考慮するため,複数用途の付け値関数を用いることを前提としたランダム付け値理論で土地用途が決定される枠組みを検討した. 2.宅地と農地の市場均衡モデル:宅間・安藤は,宅間・安藤(1999)の都市圏モデルに兼業農家を明示的に導入して,より現実的な都市圏の土地利用決定モデルを構築し,open city下のケーススタディ分析を行った. 3.土地利用関連法制度の比較法学:清水は,24年度に行ったニューヨークとカリフォルニアの土地利用法制度に関するヒアリングを下に,日本の土地利用法制度と比較法学を行いつつ,制度を比較・整理し,学会報告した. 以上の研究テーマを進めることで,複数用途による土地市場を分析する枠組みを理論的・実証的に構築するための基礎的な知見が得られた.本研究の成果は,土地利用外部性を考慮した複数用途の土地市場均衡モデルを構築し,効率的な土地利用政策を検討するために利用され,土地市場の効率性に資するものである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
25年度の当初計画では,宅間・安藤(1999)の枠組みから拡張される土地利用決定モデルの数値計算による検討よりも,実証分析の結果をそのまま援用できるランダム付け値理論による検討へ研究アプローチをシフトさせる方針であったが,土地利用決定モデルによる検討を進めた結果,数値計算によるシミュレーションが多種多様な状況下の政策評価に適していることから,二つのアプローチを同時並行的に検討することとした.そのため,当初の研究計画よりも研究の作業及び検討が増え,当初計画から若干遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画は申請時から概ね変更がない.しかし,当初計画では,個々の土地利用外部性を推計した後,都市圏全体の土地利用決定モデルとして,宅間・安藤(1999)を拡張した枠組みを用いて検討するとしていたが,実証分析結果を援用できるランダム付け値理論の枠組みによる検討をあわせて実施することとし,今後は,両アプローチを同時並行的に検討する. 研究代表者及び研究分担者の全てが別々の大学にいるため,これまで以上に密な情報交換が必要となる.そのため,個々の研究テーマに関する打ち合わせだけでなく,全体での研究打ち合わせを実施する予定である.
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