研究課題/領域番号 |
23330096
|
研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
阿部 茂行 同志社大学, 政策学部, 教授 (60140076)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | サプライチェーン / 地域統合 / 多国籍企業 / 空洞化 / 部品貿易 / 雁行形態 |
研究実績の概要 |
2011年度から始動した「輸出志向工業化とアジアの経済発展~空洞化の実証研究」について、2014年度内に達成した成果は次の通りである。 ①アジアの経済発展における輸出志向工業化がどれほどの役割を果たしたのかについてのデータの収集、分析したこと。②空洞化の事例の収集。主に日本経済新聞に掲載された最近5年ほどの記事を収集した上で、精査。アジア各国の情報もあわせて収集し、これを詳細に検討したこと。③インドネシア、ベトナムへの2013年度の調査報告をまとめるとともに、2014年度に調査したマレーシアのPanasonicの事例を詳細に精査。Panasonicの現地工場では第3国の労働者を1/3もの大規模で雇用していることが分かった。多国籍企業においても外国人労働者雇用を許す政府の施策であるが、これが広がると多国籍企業のRelocationは必要がなくなり、今後のサプライチェーンの動向に変化をきたす。この問題意識が新たに浮上、最終年度にきっちりとした分析につなげる予定であること。④サプライチェーンの動態をUNCOMTRADEデータを使って、本格的な計量分析に着手したこと。 これらが研究成果の主なものである。 研究成果は、二つの国際学会、East Asian Economic Association Convention in Bangkok、とWestern Economic Association International Convention in Wellingtonで研究成果を発表、参加者と意義深い意見交換が出来た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
空洞化が例えばマレーシアにおいては、人件費を安く抑えるため、近隣諸国からの外国人労働者を使うことによって、ブレーキをかけることができている側面があることを現地調査により分かった。 また為替レートの変動が、日本企業が外国で生産するか日本で生産するかのデシジョンに大きくかかわっている。120円/ドルの円安下では、外国での生産を国内生産に切り替える企業が続出している。つまり空洞化とは逆の動きも起こっている。 こうした新しい知見に基づいて、研究の中に組み入れ、当初の研究を拡張する形で、現在進行している。
|
今後の研究の推進方策 |
タイ、マレーシアなのでの外国人労働者雇用の広がりと空洞化の関連をより詳しく精査し、タイではTDRIの研究者たちの協力を仰ぎ、統計収集、ケーススタディを積み重ねる。マレーシアにおいてはUniversity of Malayaの研究者たちに同様の協力を求める。
フィリピンの調査も本年度敢行する。
為替変動と空洞化の関連も新しい課題で、事例を集めるとともに、貿易データからの裏付け、実証を行う。
|