プラザ合意以降の円高局面で日系企業はアジアに大挙進出し、広域での生産体制を確立することにより、「世界の工場・アジア」を実現した。日本ではそのおかげで、空洞化の進行が著しくなった。こうしたサプライチェーンは、アジア各国の産業の高度化により、労働集約的工程が賃金の安い国に移転、高度化を達成した国では、日本と同じように空洞化が発生することとなった。こうした経緯を貿易データで丁寧に跡づけたのがこの研究である。興味深い発見は、2011年の自然災害でサプライチェーンが寸断され、復興はもとに戻る形をとらなかったこと、そして外国人労働の活用により、空洞化を避けるということもアジアでは起こっていることである。
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