研究課題/領域番号 |
23330101
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人経済産業研究所 |
研究代表者 |
森川 正之 独立行政法人経済産業研究所, その他部局等, その他 (70272284)
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キーワード | 生産性 / 企業統治 / 人的資源管理 / 企業特性 / サービス産業 |
研究概要 |
まず、企業の統治構造、人的資源管理と生産性の関係についての内外の理論・実証研究の進展について、内外の研究の進展をサーベイした。 アンケート調査の調査票設計を行い、政府統計である「企業活動基本調査」でカバーされない企業の経営目標、ステークホルダー、利益処分、株主構成、役員構成、メインバンク、労働組合の有無、成果報酬、従業員持株制度等を主な設問とする「企業経営と経済政策に関するアンケート調査」を作成した。これを日本企業約15,000社に対して送付し、年度末までに約3,400社からの回答を得た。また、経済産業省に対して「企業活動基本調査」の個票データの使用承認手続きを行い、必要なデータを入手した。 調査実施と並行して、「企業活動基本調査」の個票データのみを用いて実施可能な分析として、ストックオプションと生産性の関係について計量分析を行い、ストックオプションの採用が企業のリスクテーキングを促し、生産性を高めることを示す結果を得た。この結果をベースに、経済産業研究所の内部セミナーで報告した上で「ストックオプションと生産性」というディスカッション・ペーパー(12-J-002)として公表した。また、加筆修正を加えた上で、英語版の論文Stock Options and Productivity: An empirical analysis of Japanese firmsとしディスカッション・ペーパー(12-E-011)として公表した。 24年度には、経済の先行きとともに企業統治や労使関係に関連する会社法制・労働市場制度を含む各種制度・政策が企業経営に与える影響について実態を把握することを目的として、繰越金の一部を使用して補足的な企業アンケート調査(「日本経済の展望と経済政策に関するアンケート調査」)を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本企業に対するアンケ-ト調査のスケジュールは、東北地方所在企業における震災の影響や全国各地の企業の廃業に伴う調査サンプルの再設計等の事情によりやや遅れたものの、23年度内に調査票の回収が完了した。24年度には補足的なアンケート調査を実施することができた。すでに論文の執筆・公表も始めており、総合的に見て「おおむね順調に進展している」と判断している。
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今後の研究の推進方策 |
23年度中に実施したアンケート調査及び24年度に補足的に実施した調査の回収が終了し、データが利用可能となったため、25度以降はこの結果を用いてミクロ計量分析を行う。分析を通じて、企業統治構造・人的資源管理といった「経営の質」に関連する各種企業特性と生産性をはじめとする経営成果の関係を定量的に分析し、何本かの論文にまとめる予定である。
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