研究課題/領域番号 |
23330107
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
内田 交謹 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (80305820)
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研究分担者 |
後藤 尚久 北九州市立大学, 経済学部, 教授 (20275118)
森保 洋 長崎大学, 経済学部, 教授 (10304924)
梅澤 俊浩 北九州市立大学, 経済学部, 准教授 (60350360)
松本 守 北九州市立大学, 経済学部, 准教授 (50435096)
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キーワード | コーポレートガバナンス / 事業再構築 / 経営者交代 / 配当政策 / 投資家保護法制 / 取締役会 |
研究概要 |
平成23年度の研究計画は、(1)サーベイ研究会の実施を通じて、国際データを用いた最先端のコーポレートガバナンス研究の動向について知識共有を図ること、(2)平成24年度以降に実施する実証分析に必要なデータベースを構築すること、(3)日本や欧米にはない規制が存在する一方でその改革が進められている中国のコーポレートガバナンスについて実証分析を行うことであった。また、整備されたデータで実行可能な分析を順次進めていく予定にしていた。 (1)については、研究会を4回開催し、取締役会多様性や投資家保護法制に関する先端研究の動向や必要なデータについての知識共有を実現できた。(2)については、東京証券取引所によって独立役員導入が義務化された後に提出された独立役員届出書をデータベース化するとともに、短期的な株価反応に関する予備的テストを行った。さらに、世界各国の企業の取締役会構成に関するテキスト・データを読み込み、データの加工作業を進めるとともに、世界各国の企業について、Lintner modelを用いて目標配当性向と配当調整速度を計算する作業を行った。 収集・加工を行っているデータのうち、海外企業の取締役会データの一部を用いて、取締役会規模とフリーキャッシュフロー、投資家保護法制の関係に関する論文を執筆した。また、Nikkei NEEDS Cgesを購入することで2002年度~2010年度の日本企業の包括的なガバナンス・データを構築し、金融危機時に社外取締役が経営者交代確率を高め、減配確率を低下させることを示した論文を執筆した。さらに、社外取締役割合の決定要因とパフォーマンスへの影響に関する論文を執筆した。 (3)については、独自に収集した中国企業のデータを用いて、金融危機時におけるコーポレートガバナンス構造とパフォーマンスの関係に関する論文、金融危機時における欧米銀行による中国銀行のダイベストメントについて論文を執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
強制的社外役員導入やリストラクチャリングのデータをはじめ、日本企業の包括的なガバナンスデータの構築を実現した。またこれらの一部を使って、論文を2本執筆できたのは計画以上の成果である。海外企業の配当政策に関するデータ計算、中国企業に関する実証分析・論文執筆も計画以上のペースで進んでいる。一方で、海外企業のリストラクチャリングの定量的データ作成、銀行のガバナンスデータの作成は計画より少し遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は各メンバーとの研究打ち合わせの回数を増やすことで、データベース作業の進捗を大幅に進める予定である。また本研究課題に関心を持つ大学院生をプロジェクトに参画させることで、分析作業の効率性を飛躍的に高められると考えている。
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