研究課題/領域番号 |
23330114
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
井奥 成彦 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (60184371)
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研究分担者 |
武田 晴人 東京大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (20126113)
谷本 雅之 東京大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (10197535)
吉田 ゆり子 東京外国語大学, 総合国際学研究院, 教授 (50196888)
小川 幸代 長岡大学, 経済経営学部, 教授 (90320879)
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キーワード | 19世紀 / 畿内 / 豪農 / 木津川 / 堺屋庄五郎家 / 金融 / 流通 / 領主 |
研究概要 |
本年度は、平成23年9月6日~9日、及び3月6日~9日の2度にわたり、グループ全体としての現地史料調査を行い、その他個人的に別日程で現地調査を行った者もいる。調査では精華町、木津川市旧山城町、同旧木津町、同旧加茂町を訪れ、当該地域のかつての豪農である松田安司家、森島国男家、安宅孝郎家、梶田家、八木芳郎家などの史料を収集し、また八木芳郎家については聞き取り調査も行った。こうした調査の中で、当該地域の豪農の中での中核的な存在としての八木家(堺屋庄五郎家)の存在が浮かび上がり、同家の根源を探る意味で、同家の菩提寺である木津・正覚寺の史料の調査も行った。その結果、同家の言い伝えよりやや古く、近世中期の元文頃にはすでに同家は当該地域で経済活動を行っていたことがわかった。同家は、19世紀に入る頃から、他の豪農に貸金を行うなど当該地域の経済の中での中心的役割が明確になるが、その起点が近世中期にあることがわかったことは収穫であった。史料調査全体を通して、本研究の目的の一つである当該期当該地域における「豪農相互間の関係」について、その起源や実態がより明確になってきた感がある。 また、本年度は、平成23年4月30日、7月23日、10月1日、12月28日に研究会を行い、当該期当該地域における豪農間の金融の展開、豪農から領主への金融、当該地域の主産業の一つである茶業の展開と茶の流通、農民家族の存在形態と移動などに関する研究報告が行われた。また、史料調査時には、各自の調査結果を報告し情報交換を行うミーティングを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度交付申請書に記した通り、予定通り年度中に2回、グループ全体での史料調査を行うことができ、「研究実績の概要」に記した通り、我々が望んでいた成果がかなりの程度得られた。研究会の回数は予定よりやや少なかったが、「研究実績の概要」に記した通り、我々の研究目的に沿ったテーマによる研究報告が順調に行われ、総じて順調に成果が得られていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
ここまで、研究はほぼ順調に進んできているので、基本的に、今後とも当初の計画に沿って研究を進めていく。具体的には、引き続き当該地域の複数の豪農の家の史料を収集することに努めるが、一方で、八木芳郎家で行ったような聴き取り調査を、他の豪農の家についても行っていきたい。また研究会を、グループ内部だけでなく、現地の研究者も交えて、お互い教示し合ったり情報交換を行うようなものとしていきたい。収集史料の蓄積が厚みを増すにつれて、研究報告もより充実したものとなるであろう。
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