研究課題/領域番号 |
23330116
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
須永 徳武 立教大学, 経済学部, 教授 (10308091)
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研究分担者 |
老川 慶喜 立教大学, 経済学部, 教授 (10168841)
大島 久幸 高千穂大学, 経営学部, 教授 (40327995)
渡邉 恵一 駒澤大学, 経済学部, 教授 (00267387)
谷ヶ城 秀吉 立教大学, 経済学部, 助教 (30508388)
湊 照宏 大阪産業大学, 経済学部, 准教授 (00582917)
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キーワード | 帝国日本 / 植民地 / 台湾 / 市場 / 会社 / 社会資本 / 流通 / アジア |
研究概要 |
本研究は帝国日本の植民地における経済発展過程について台湾を中心に経済制度の整備や市場形成の観点から多面的に検討することを課題とする。こうした課題の解明に向け2011年度は台湾における史料調査を行った。調査機関は国立中央図書館台湾分館、中央研究院台湾史研究所、国家档案館などを中心とした。また、台湾における史料状況や研究情報を得るため中央研究院、台湾師範大学、台北大学などの研究者と研究交流と情報交換を行った。これら研究対象地域における史料調査と研究交流は実証的研究の基盤となるものであり、今後は調査地域を台湾のみならず日本の旧植民地であった韓国、「満洲(中国東北)」に拡大し継続的に実施する予定である。2011年度には、それまでの研究活動と2011年度の史料調査の成果を反映させて、『植民地台湾の経済と社会』を刊行した。同書には、本研究代表者の須永徳武、研究分担者の老川慶喜、谷ヶ城秀吉、湊照宏、連携研究者の小野浩の研究成果がそれぞれ収録されている。また、同様の成果として研究分担者の谷ヶ城秀吉が『帝国日本の流通ネットワーク』を上梓した。さらに、植民地関連史料は日本国内の大学図書館等にも多く所蔵されていることから、それらの史料調査も個々のテーマに即して進めた。例えば、台湾糖業史に詳しい研究分担者の大島久幸を中心に行なわれた(財)糖業協会所蔵資料の調査等である。さらに研究代表者が所属する立教大学図書館に『台湾日日新聞』、「東アジア日本人商工会議所資料」、「企業史料統合データベース」などを整備し、史料基盤の充実を図った。こうした史料調査・研究と同時に、本研究プロジェクトの成果を研究期間終了後に公刊するべく、それぞれの研究テーマの進捗状況の確認と問題意識の調整を目的に合宿研究会を開催した。研究会では個々の担当予定章の概要と研究全体の課題について議論し、それに基づき2012年度の研究を進めることになる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究テーマに関連する研究書を研究代表者、分担者を中心に2冊公刊できたことは大きな成果と考える。また、研究メンバーを中心に合同の台湾における史料調査・研究交流を実施したこと、また個々に必要に応じて台湾史料調査を実施したこと、国内史料調査も適宜実施したこと、さらに立教大学図書館に関係史料がデジタルデータとして整備されたこと、これらにより本研究の史料基盤がほぼ固まった。また研究期間終了後の成果公刊に向けた分担調整と全体テーマの検討をすすめたこと。これらの点を鑑みると本研究はおおむね順調に進展していると評価できよう。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究活動を通じて台湾に関する史料調査に一定の成果を得られたが、今後とも補充調査を進める予定である。さらに今後は台湾と同様に日本の旧植民地であった韓国および「満洲」の史料調査も実施したい。また、今後は収集した資料の分析と検討を進めていく。そうした研究の中間的総括として、研究代表者須永および研究分担者老川、谷ヶ城、湊、大島、連携研究者岡部桂史は2012年5月に台湾において開催される国際学術シンポジウム「近代東亜的区域交流與秩序重編」においてそれぞれ研究報告をする予定である。同シンポジウムには台北大学、中央研究院などに所属する多数の台湾人研究者も参加する予定であり、この機会を活用して台湾の研究状況の調査と台湾人研究者との研究交流を積極的に進める予定である。2012年度においても個々の研究テーマの進捗状況の確認と全体テーマの擦り合わせを目的に合宿研究会を開催する予定である。
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