研究課題/領域番号 |
23330123
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
和田 一夫 東京大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (20121478)
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研究分担者 |
松島 茂 東京理科大学, その他の研究科, 教授 (00339508)
具 承桓 京都産業大学, 経営学部, 准教授 (20367949)
岸本 太一 敬愛大学, 経済学部, 准教授 (70508556)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ロジスティクス / 物流 / グローバル化 / サプライヤー / 生産 / 開発 / 自動車 / システム |
研究概要 |
平成24年度の実施計画に「和田と松島はこれまでの研究を暫定的にでもあれ、とりまとめて、パリで今年に開催される日欧経営史国際会議で発表する予定」と、「和田は・・・これまでの研究をとりまとめた原稿を書物にまとめる段階にしたい」と書いた。前者は実現した。後者はほぼ完成稿になり、今秋には『ものづくりを超えて』という題目で、名古屋大学出版会から出版の予定である。本研究を申請する際に、この書物の上梓、それへの参加者への対応をひとつの狙いだと書いていたので、一応、中間地点は越えたと考えている。 一昨年度のインドネシアに続いて、昨年度はタイでも自動車関連事業の物流を中心に調査した。今回は、特に日本から進出したサプライヤーの施設も調査対象にした。具は、この訪問調査に関連した文献レビューおこない、松島は国内のサプライヤーについても訪問調査を重ねた。また岸本は静岡県中遠・西遠地域や長野県諏訪地域の中堅・中小企業を30社程度訪問し、この一部の企業については海外拠点も訪問し、自動車以外の分野にも対象を拡げた。また、研究協力者である下川は日仏国際経営史学会に出席し報告に対し積極的にコメントをするとともに、自動車関係の研究者からの情報を集め、分担研究者に提供した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の申請時点で『ものづくりの寓話』の続編『ものづくりを超えて』(二冊でセットとなった研究)を研究実施二年後に完成原稿にする、としていたことがほぼ実現できた。また、物流・ロジスティックスに重点をおいた企業経営に関する研究はありそうで、実際のところは調査レポートの類が多い。このため当初の二年間は企業経営の研究に、物流・ロジステクスを視野にいれるための模索をせざるを得ないと考えていた。そのため、一昨年のインドネシアに引き続き、タイにおけるトヨタの生産拠点を訪問した。またタイ開発拠点のみならず、サプライヤーを訪問し、生産、開発、ロジスティックについて調査が共同でできた。 こうした調査は、和田の前掲書物の執筆にも多くの示唆を与えただけでなく、具の文献レビューにも大きな刺激を与えた。さらに松島は国際会議での発表から、その研究の展開を模索している。岸本は共同調査から示唆を受けながら、別途、様々な企業での取り組みについて調査し、それをまとめつつある。
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今後の研究の推進方策 |
今年は研究成果を確実に公表していきたい。一つは和田の著書は大部なので、一部の手直しから版組・校正作業を着実におこない、遅くとも本年中には著書として世に問いたい。また岸本も、これまでの共同調査とともに、独自でおこなってきた研究成果を取りまとめる予定である。具、松島は、これまで2年間で行った日本国内、インドネシア、タイ調査成果を踏まえながら研究成果を発表する予定である。 ただ、物流・ロジステクスが、企業の生産や開発、グローバル化への対応にどのような影響を及ぼしたか、あるいは、より限定的に企業システムについての影響はどうだったかについては、研究としては緒についたばかりだと考えている。 こうしたことを考え、本年度は国内の生産拠点を中心に共同調査を行いたい。それとともに研究分担者が個人ないし数人で別の調査も行いたい。また研究成果の公表ということを考えて、従来のように秋から冬にかけて共同で研究会を開催するとともに、研究分担者数人だけでも意見の調整のために、個別に研究会を開催したいと考えている。
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