研究課題/領域番号 |
23330124
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
軽部 大 一橋大学, 大学院商学研究科, 准教授 (90307372)
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研究分担者 |
福川 裕徳 一橋大学, 大学院商学研究科, 教授 (80315217)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 組織能力 / 監査法人 / マルチレベル / 能力移転 |
研究概要 |
本研究の目的は,個人レベルと企業レベルというマルチレベルで観察される変化に注目して,組織消滅に伴う組織能力の解体と競合企業への能力移転メカニズムを検討するものである.具体的には,四大監査法人の一角を占め2007 年に解散した中央青山監査法人(解散時はみすず監査法人)の事例に注目し,同監査法人の取引関係と公認会計士移動を追跡する大規模パネルデータを構築し,組織消滅を契機にした組織能力の解体と企業間能力移転メカニズムを,組織論と監査論の視点から学際的に検討することにある. 2年目となる平成24年度は,平成23年度に引き続き,先行研究の文献サーベイに基づく研究課題の導出・検証と作業仮説の構築・深化作業を行い,当初計画した2004年度から2009年度までのパネルデータ(54047ケース)を入力作業を工夫することで,2001年度から2011年度までのパネルデータ(95106ケース)に拡張した. 平成23年度に引き続き,監査報酬の変化を監査人の変更と監査法人の変更とに分解して監査報酬の決定プロセスを説明する実証研究を推進すると共に,新たに過去に存在した主要監査法人の合併プロセスを歴史的に解明する作業を推進した.その結果,日本の監査法人が3大監査法人へと集約される歴史的合併プロセスを系統図的観点から網羅的に把握するデータベースも作成した. 現在,本データベースを基にした実証研究を推進中で,3本の実証論文を暫定的に作成し,ワーキングペーパーとして発表した. また,4つの国際学会(European Business History Association,American Accounting Association, International Symposium on Audit Research, European Accounting Association)で研究成果を発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際的な学会での研究発表は,極めて順調に進捗している.例えば,主要な歴史学の学会の一つであるEuropean Business History Association1回,米国会計学会(American Accounting Association), 監査領域のトップスカラーが集うInternational Symposium on Audit Researchでの発表, 欧州会計学会(European Accounting Association)での発表はその一例である.これらの暫定的な研究成果は,ワーキングペーパー3本として,広くwebを通じて公表している.しかし,他方で,国際誌へのアクセプトにはたどり着いていないので,その点について作業を加速する必要がある. データの構築に関しては,当初の計画を上回るペースで作業が進められており,その成果は,データ期間の拡張という形で実現している.以上の理由から成果の国際誌への公刊という課題が残されているものの,概ね計画通りに研究が進捗していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の最終的な目的の一つは,研究成果の国際誌での公刊にあるので,最終年となる平成25年度は,国際誌への投稿作業に特に注力する予定である.データの整備もすでに可能な拡張作業も終了しているので,環境は整っている.
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