研究課題/領域番号 |
23330126
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
高桑 宗右ヱ門 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (50112016)
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研究分担者 |
三輪 冠奈 名古屋学院大学, 商学部, 准教授 (30460546)
劉 妍 名古屋大学, 経済学研究科, 助教 (80584911)
譚 奕飛 中央学院大学, 商学部, 講師 (90508540)
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キーワード | シミュレーション / 鉱山 / プロジェクト / ロジスティクス |
研究概要 |
平成23年度は、次の3つの事項について研究を行った。 (1)モンゴルにおける鉱山の採掘・生産プラントの調査 モンゴル国立大学・経済学部ならびに複数の鉱山企業の協力を得て、さらに担当官庁の支援も受けて、モンゴル国内での最大の鉱山であるErdenet鉱山会社および炭鉱について、調査を行った。特に銅・モリブデン鉱山とその後工程である精錬工場について、一貫した生産システムとして捉え、システム分析のための調査を行った。このような分析・調査はこれまで前例がなく、生産計画を含めた有益な研究成果が期待できる。 (2)関連するプロジェクトマネジメントとシミュレーション分析に関する体系化 採鉱プロジェクトマネジメントの一環として、シミュレーション手法を用いることの利点と、それを適用することによるリスク低減策について検討し、手順を開発した。鉱山には地下(underground mine)および露天堀(open-pit mine)がある。前者については、平成23年12月に国際会議で論文講演を行った。後者については、研究論文を投稿中である。また、炭鉱におけるリスクマネジメントに関する研究成果をまとめ、その研究論文を国際会議にて発表した。 (3)グローバルロジスティクスの観点からの輸送計画 モンゴルからわが国に至る輸送に係る時間・コスト・リスクなどを総合的に勘案して、複数の経路を確保するためのロジスティクスの代替案について調査を行い検討した。資源等に関するグローバルな調達は、わが国にとっても喫緊の課題となっている。本研究課題で対象とするモンゴルは海に面していないことから、資源をわが国まで輸送する場合には、陸路を経て港(たとえば、ロシア・ナホトカ港、中国・天津港)を経由必要がある。そこで、天津港に関する調査結果をまとめた研究論文を国際会議で報告した。さらに、コンテナヤードなど港湾に関する機能分析について、名古屋港を対象として行い、研究論文を国際会議にて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
申請者の研究室において、平成18年度から、モンゴルにおけるマイニング(鉱業)に関して研究を行っている。特に鉄鉱石採掘プラントを対象にして、リスクマネジメントを含めたプロジェクトマネジメントについて研究を進め、研究成果を発表してきた。また、研究室出身のUndram Chinbat教授(モンゴル国立大学経済学部・経営学科長)を介して、モンゴル国立大学と名古屋大学との学術交流協定に基づく共同研究プロジェクトの一環として、本研究課題に係る共同研究プロジェクトを協力して推進している。さらに、現地の鉱山企業などとも連携して順調に調査・研究を実施している。平成23年度は本研究課題としては初年度であるが、すでに多くの研究成果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題に関する今後の推進方策については、以下の事項について特に重点を置くことにしている。 (1)鉱山採掘と精錬システムを連結した生産システムの分析 平成23年度から研究対象としている銅鉱山について、採掘と精錬を連続した生産システムとして捉え、調査・分析を進めることにしている。また、鉄鉱石に関しても、高炉の設置により粗鋼生産へと拡張させることにより、モンゴルにおける産業の発展に大いに寄与することが期待される。そのために、同国の産学官と密接に連携して本研究課題を遂行する必要がある。 (2)モンゴル国内のロジスティクスとグローバルロジスティクス モンゴル国内の輸送システム(鉄道・道路)については、今後多大な発展が期待される。同国内における効率的な物流の観点から、輸送システムの在り方について、モンゴル国立大学と共同して提言を行うことを検討している。そのために、牛肉の流通システムについて、同大学や同国の行政機関との共同研究を進めることにしている。その際に、わが国の牛肉流通システム・トレーサビリティなども参考にする予定である。また、モンゴルから我が国への輸送手段としては、ロシアあるいは中国を経由して陸路・海路による輸送が検討されており、現地調査を含めてフィージビリティを検討することにしている。さらには、空路による輸送についても、東アジア諸国とわが国との間の航空貨物輸送の実態調査などにより、検討していく予定である。 (3)東アジアにおける比較研究 本研究課題と同様の課題に関して、ベトナムにおいて調査・研究を行い、比較することで、鉱山プロジェクトとグローバルロジスティクスについて、問題点がより明確になるものと考えている。ベトナムでは、ベトナム国家大学(ハノイ校)との共同研究を平成24年度から開始することにしており、その研究成果を踏まえることで、本研究課題の研究成果がいっそう充実したものとなることを期待している。
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