研究課題/領域番号 |
23330130
|
研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
川村 尚也 大阪市立大学, 大学院・経営学研究科, 准教授 (80268515)
|
研究分担者 |
浜井 和子 広島国際大学, 看護学部, 講師 (80461325)
太田 雅晴 大阪市立大学, 大学院・経営学研究科, 教授 (00168949)
本多 哲夫 大阪市立大学, 大学院・経営学研究科, 准教授 (50336799)
土屋 貴志 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (90264788)
|
キーワード | 経営学 / 職域健康増進 / 小規模製造業 / ICT / 国際研究者交流 / オランダ:ドイツ:イタリア |
研究概要 |
本年度はまず、1)健康科学・医療経済学・医療社会学関連分野における職域健康増進研究、精神医学関連分野における食やアート等を媒介とする精神・知的障害者支援研究、経営学分野における中小企業研究、イノベーション研究に関する研究文献・資料の収集・分析、2)保健医療組織経営、中小企業経営、イノベーション経営を研究する一橋大学、青山学院大学、静岡県立大学、東京医科歯科大学、山口大学、ケムニッツ工科大(ドイツ)、トレント大学(イタリア)、ユトレヒト人間学大学(オランダ)の研究者へのヒアリング調査(訪問及び招聘)とヨーテボリ大学(スウェーデン)で開催された欧州組織学会での研究報告、3)環境教育を通じて地域住民のコミュニティ構築に取り組む「次世代のためにがんばろ会」(熊本県八代市)および職域健康増進に取り組む精神障害者地域生活支援団体「クッキングハウス」(東京都調布市)の活動の参与観察および関係者へのヒアリング調査を行った。その結果、費用対効果の高い小規模製造業向けの職域健康増進プログラムの基本コンセプトとして、米国の行動科学の強い影響下にあるわが国の職域健康増進研究および経営学研究では注目されてこなかった、現象学やポストモダニズム、社会複雑性理論など現代欧州の哲学・社会・人間科学が重視する「自己へのケア」、「関係としてのケア」、「複雑システムとしてのケア実践」の考え方を採用してプログラム内容を検討する必要があることが明らかになった。そこで本年度後期には、これらの基本コンセプトをわが国の保健医療従事者と経営者に理解してもらい、次年度以降に実施する小規模製造業向けの職域健康増進プログラムの実証実験を効率・効果的に進めるために不可欠な資料として、研究協力者に依頼して、ユトレヒト人間学大学ヒューゴ・レティーシュ教授の最新著『Making Healthcare Care』の邦語訳に取り組み、全6章のうち5章までの粗訳を完成させた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東日本大震災に伴う社会・経済情勢の混乱と科研費補助金の入金の遅れにより、本年度に予定していた大阪の小規模製造業へのヒアリング調査と実証実験対象企業の選定・交渉を計画通りに行うことができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
採択された第2年度目、3年度目の研究予算内で、東日本大震災による本研究計画への影響を最小限に抑えると共に、より有効性の高い小規模製造業向け職域健康増進プログラムを構築するために、第2年度の実験対象企業を2社程度とし、実験期間を第2年度後期と第3年度前期にまたがって実施する。また、第2年度および第3年度に海外の共同研究者を招聘して実証実験の進捗状況と実験結果を共同で分析し、「自己へのケア」、「関係としてのケア」、「複雑システムとしてのケア実践」を基本コンセプトとする、斬新な職域健康増進プログラムの具現化に取り組む。
|