研究課題/領域番号 |
23330133
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
黒田 兼一 明治大学, 経営学部, 教授 (60148575)
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研究分担者 |
清山 玲 茨城大学, 人文学部, 教授 (00236069)
鬼丸 朋子 國學院大學, 経済学部, 准教授 (00325557)
行方 久生 山形大学, 人文学部, 教授 (00455883)
戸室 健作 山形大学, 人文学部, 准教授 (60542024)
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キーワード | 地方公務員 / 雇用・人事制度改革 / 能力主義・成果主義 / 臨時・非正規職員 / 労働時間 |
研究概要 |
いま地方自治行政と地方公務員制度のあり方が問われており、公務員制度「改革」が進行しつつある。それは、人事給与制度の「能力主義・成果主義」化、正規職員定数の削減の代替として臨時(非正規)職員の大幅増員、業務の「効率化」をめざす民間委託の推進などである。これらについての一端はマスコミ等を通して知られてはいるが、学術的な研究は乏しい。とりわけ「公務員改革」との関連で、地方公務員自身の労働と生活の実態とその変化の実相についてはほとんど明らかにされてこなかった。これら公務員の処遇と管理のあり方は、住民サービスの質に直結する問題であるだけに、その現状と今後の課題を検討することはきわめて重要であろう。本研究では、地方公務員の雇用・賃金・給与制度「改革」とそれによる地方公務員の就業と生活実態を明らかにする。さらに臨時・非常勤職員の実態(雇用数の動向、仕事と処遇など)についても取り上げる。 研究の初年度にあたる本年度は、先行する研究資料の収集、そしていくつかの地方自治体職員を対象としたアンケート調査、およびヒアリング調査に専念した。実施地区は、東京、神奈川、京都、大阪、福岡、広島である。それぞれの地区の職員組合の協力をえながら実施した。現在、得られた資料の整理・分析中である。 またこの研究補助を申請後、2011年3月11日の東北地区に大地震・大津波の大災害が発生した。その後の復旧と復興は地元の自治体とそこで働く職員が果たした役割が大きかった。それは私たちの研究課題にとって重要な問題を含んでいることは明らかである。震災後1周年にあたる3月上旬、私たちは陸前高田市、大船渡市、大槌町を訪問し、職員と職員組合と懇談し、貴重な情報を得た。これらについて現在とりまとめており、後日、当面、ホームページ上に公開の予定でいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
採択の内示が11月下旬であったことが一番大きく影響している。4月の時点では不採択だったことを前提に、今後の研究計画を立て直し、海外調査はもちろんのこと、当初の計画を大幅に修正して、12年春にこれまで行ってきたアンケート調査などをとりまとめようとしていたが、やはり調査不足や情報不足を補うため計画全体を見直すか、断念するか思案中だった。採択の知らせを受けて、再度、計画を見直し、2年目の海外調査を念頭に、急遽いくつかの国内調査を実施し、遅れを取り戻すべく努力を重ねた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の積極的な意義は1980年代半ば以降のイギリスから始まった行政改革(New Public Management)の実相を、行政当局からではなく、公務員の側(賃金と処遇、仕事の変化など)から分析することにある。それ故、課題を絞りながらもそのイギリスの現状を考察することが不可欠である。当初は米国も視野に入れていたが、資金的な面や時間的な面からイギリスに絞らざるをえなくなった。こうしたことから24年度は秋に英国の現地調査を集中的におこなうことにする。
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