研究課題/領域番号 |
23330142
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
川上 智子 関西大学, 商学部, 教授 (10330169)
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研究分担者 |
岸谷 和広 関西大学, 商学部, 准教授 (40330170)
竹村 正明 明治大学, 商学部, 准教授 (30252381)
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キーワード | ICT / 新製品の普及 / 消費者行動 / ネットワーク外部性 / クチコミ / 電子書籍 / スマートフォン |
研究概要 |
本研究はICTの発達がネットワーク外部性を有する新製品の普及に与える影響に関する理論的・実証的研究である。研究初年度に当たる平成23(2011)年度は、ブルーレイDVDレコーダー、スマートフォン、電子書籍リーダーに関する研究を中心に推進した。 理論的な研究成果としては、対人クチコミとネットクチコミを概念的に明確に識別し、操作化したうえで、技術受容性モデル(TAM)と融合させ、実証研究を進めたことが挙げられる。当該論文は、平成23(2011)年6月にオランダ(デルフト工科大学)で開催されたInternational Product Development Management Conference(IPDMC)2011で報告し、Journal of Product Innovation Managementに平成24(2012)年刊行されることが決まった。 平成23(2011)年度は、理論研究や文献サーベイに基づく概念モデルの精緻化にも重点を置いた。その成果の一つとして、日本消費者行動学会では、クチコミ、ブランド・ロイヤリティおよびネットワーク外部性との関係に関する研究を報告した。 また、クチコミ情報の信頼性、クチコミの正負の方向性、SNSの利用状況といった新たな概念をモデルに導入し、それを基に設計した消費者対象の質問票調査も実施した。これらのモデルとデータを用いた論文は計3本執筆し、平成24(2012)年6月にイギリス(マンチェスター大学)で行われるIPDM2012および7月に韓国で行われるKSMS GMC2012に採択され、報告予定である。 さらに平成23(2011)年度は、電子書籍の研究に力を注いだ。電子書籍元年と言われた2010年を過ぎても本格的に市場が立ち上がらない中、アメリカとの国際比較を通じて日本の現状を考察し、参入企業への示唆を示した論文を9月に刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
執筆した論文がイノベーション分野のトップ・ジャーナルであるJournal of Product Innovation Managementに掲載される予定である点で、研究成果としては極めて順調に目標を達している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究解題において各年度に最も注意して検討しなければならないのは、対象製品をどうするかという問題である。この点に関し、平成24(2012)年度は、成長著しい一方でAmazonによる外資参入で混乱も見られる電子書籍市場に特に焦点を当て、消費者側のみならず、成功するビジネスモデルの構築という観点から研究を進めたいと考えている。そうした定性的研究に基づき、電子書籍のイノベーションに関する論文を執筆する一方で、他のデジタル製品を含む複数の対象製品に関する実証研究も継続していく予定である。
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