研究課題/領域番号 |
23330144
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研究機関 | 流通科学大学 |
研究代表者 |
向山 雅夫 流通科学大学, 総合政策学部, 教授 (00182072)
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研究分担者 |
崔 相鐵 流通科学大学, 総合政策学部, 教授 (10281172)
白 貞壬 流通科学大学, 商学部, 准教授 (60400074)
趙 命来 香川大学, 経済学部, 准教授 (60582228)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 逆進出 / 小売国際化 / 新興国市場 / 現地適応 / イノベーション / Format |
研究概要 |
本年度の研究計画に基づき、以下の研究を行った。 (1)研究会開催 ①第1回研究会実施(2012.11.27-28 於:香川大学)②第2回研究会実施(2013.2.21-23 於:マレーシア)(2)小売国際化プロセスに関する文献レビュー (3)逆進出先進事例のデータ収集及びインタビュー調査(4)先進事例企業へのインタビュー調査及び新興国現地流通市場視察(2013.2.21-28 於:マレーシア)具体的成果は以下の通りである。 (1)既存小売国際化研究が、先進国から新興国市場への進出および進出主体として先進国における先端小売企業を射程としたものであることを文献レビューによって再確認した。それに対して、新興国市場生まれの小売企業の国際化行動に関して、チリ・ブラジルなどラテンアメリカ諸国あるいはトルコなどの中東諸国を対象として現地の研究者の手による研究の蓄積が進んでいることがわかった。それら研究から、「競争的相互作用の結果として、先端国際小売企業から新生現地小売企業へ、さらに新生現地小売企業から先端国際小売企業へと国際化主体の移転が循環的に発生する」ことが明らかになった。 (2)数少ない逆進出事例として、韓国ロッテ・ショッピングを対象に調査を行った結果、「自社が母国において保持する固有のFormatを進出先市場に適合的に微調整することによって現地市場での競争優位を獲得しようとする」先端国際小売企業とは対照的に、「新興国市場での競争優位を獲得するために必要な限りにおいて、母国において未経験のFormatを新興国市場で初めて展開する」ことに逆進出型小売国際化の革新性を見出すことができるという仮説を抽出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既存の小売国際化研究が先端小売国際企業に焦点を絞って研究を進めてきたことは、現実世界の歴史的動向に沿ったものであったことは事実であり、それゆえに逆進出への注目はほとんどなかった。それゆえに文献探索に手間取ったが、未だほとんど注目されてはいないものの新興国市場を対象とした逆進出研究が進みつつあることが判明した。現時点ではそこでの研究成果を積極的に取り込む事が出来ていない点においていささか物足りないが、その一方で事例研究を通じていくつかのユニークな理論仮説の導出ができており、 両者を融合させることで当初の研究目的は十分達成されるものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
(1)新興国市場を対象にした逆進出研究の一層のレビューに努める。 (2)同じく、近年提唱されている「リバース・イノベーション」をめぐる議論をレビューすることによって、逆進出現象が必ずしも小売国際化領域に限定的な現象ではないことを明らかにし、イノベーション論・経営戦略論からの理論的示唆を得る。 (3)上記(1)(2)を踏まえて逆進出型小売国際化理論モデルを構築し、それに基づいてさらなる事例研究を蓄積する。
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