研究課題/領域番号 |
23330146
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
音川 和久 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (90295733)
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研究分担者 |
石川 博行 大阪市立大学, 経営学研究科, 教授 (60326246)
北川 教央 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (80509844)
桜井 久勝 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (10127368)
土田 俊也 兵庫県立大学, 会計研究科, 教授 (30263453)
村宮 克彦 神戸大学, 経済経営研究所, 講師 (50452488)
與三野 禎倫 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (80346410)
高田 知実 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (00452483)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 国際財務報告基準 / 財務報告の質 / 将来業績の予測 / 会計アノマリー |
研究概要 |
本研究は、わが国会計基準と国際財務報告基準(IFRS)のコンバージェンスや、わが国企業に対するIFRSの強制適用に関する活発な議論が進められていることを踏まえて、①財務報告に含まれる様々な会計情報と将来業績の関連性、および②開示情報の透明性と投資家間の情報較差について実証的に検討することを主な課題としている。財務報告の基本目的は、投資家による将来業績の予測と企業価値評価に役立つ情報を提供することであり、その基礎として、過去の投資の成果を示す会計利益情報が広く用いられてきた。これまでに公刊された数多くの実証研究は、会計利益が証券投資の意思決定に対して有用な情報を提供していることを科学的に証拠づけてきた。しかし、その一方で、近年の会計利益の特性変化は、投資家が企業価値評価を行う上で必要不可欠である将来期間の会計利益の的確な予測を困難にさせている。 そこで、我々は、財務報告を通じて提供される会計利益以外の情報を積極的に活用することによって、より良い将来業績の予測がもたらされる可能性を探究した。特に、在庫水準、設備投資、キャッシュフロー情報による企業ライフサイクルの識別、資金調達活動、特別損失の計上頻度、会計利益と課税所得の差額、継続企業の前提に関する注記、受注残高、配当政策といった各種の会計情報を取り上げて、それらが利益や株価などの将来業績の予測にどのように役立ちうるのかを実証的に明らかにした。これらの研究成果は、『会計情報のファンダメンタル分析』(中央経済社刊)に収録されている。我々の研究成果は、リスク負担の一環として、企業価値を評価するために将来の不確実な経営成果を予測しなければならない投資家の意思決定を改善し、的確な企業価値評価に基づいた投資家行動の更なる普及によって、わが国証券市場の健全な発展に寄与することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数の学会発表や研究論文の公刊が行われた。さらに、我々は2012年3月に引き続き、2012年8月15日と16日の2日間にわたり神戸大学で会合を開催し、それぞれの研究の進捗状況を報告するとともに、忌憚ない意見交換を行った。そして、興味深い実証分析の結果がそれぞれの研究において報告されたことから、その成果を収録した図書を出版することにした。2013年3月には、中央経済社より『会計情報のファンダメンタル分析』を刊行することができた。以上のことから、我々の研究活動はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
前述したように、我々は、多岐にわたる実証分析を展開してきたが、すべての実証分析が完結したわけではなく、未完成の部分も残されている。また、学会発表や研究論文の公刊などを通じて研究者・実務家等から助言・示唆のフィードバックを受けた結果、追加すべき点や修正すべき点が明らかになった研究課題もある。平成25年度は、こうした残された研究課題について研究代表者と研究分担者が緊密に協力しながら、最終的な研究成果をとりまとめたい。
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