研究課題/領域番号 |
23330162
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
野口 道彦 大阪市立大学, 人権問題研究センター, 特任教授 (00116170)
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研究分担者 |
島 和博 大阪市立大学, 人権問題研究センター, 教授 (50235602)
古久保 さくら 大阪市立大学, 人権問題研究センター, 准教授 (20291990)
上杉 聰 大阪市立大学, 人権問題研究センター, 特別研究員 (60573673)
櫻田 和也 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 特任講師 (70555325)
吉村 智博 大阪市立大学, 人権問題研究センター, 特別研究員 (70599282)
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キーワード | 都市部落 / 同和行政 / 社会階層 / ジェンダー / 都市社会学 / 隣保館 / 部落解放 / 社会運動 |
研究概要 |
(1)本年度は全12地区の約1万5000点の同和事業関連文書資料のうち、加島、住吉、浅香、矢田、日の出、生江、西成の7地区の資料の整理を行い、書誌情報を入力した(主担当は野口・上杉・吉村・島)。 (2)同和対策事業を、1920年から60年代を連続したものととらえ、戦前の社会事業、融和事業との連続性に着目し、浪速、西成、舟場、中津をとりあげ、都市部落・スラムをめぐる都市政策、行政と部落との関係、部落内の結合・対立・分岐を解明する研究を行った(吉村が担当) (3)部落解放運動における女性の活動の意義や特徴をとらえる分析枠組みの検討を行った。また、女性活動家への聞き取り調査を実施した(主担当は古久保・大賀・斎藤)。 (4)「都市部落の変容」がもたらした社会階層構造の変化を明らかにするために、国勢調査の町丁目集計データを用いて、社会階層的データを地図に落とし、大阪市全体の中で、12地区の階層的位置を明らかにした(主担当は島・妻木・櫻田)。 (5)12の同和地区の同和関係資料を活用しながら、戦後の都市部落の変容過程を明らかにする研究会を立ち上げた。この研究会は、本研究の分担研究者だけでなく、他大学・研究機関の研究者、さらに行政、教育の関係者、運動団体など地元関係者などが参加する開かれた研究会であり毎月、定例的に開催した。また、文書資料の記録内容の性格や作成意図については、研究会の報告に基づく議論のなかで、地元関係者、人権文化センターの元職員、同和教育推進担当教員など貴重な意見を伺うことができた。 (6)同和問題関係文書の書誌的情報は電子化し、時期、地区、主題、キーワードによって、自由自在に検索でき、求める資料が容易に見つけ出せるデータベースを構築した(主担当は島・上杉・櫻田)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
収集された資料の整理、データベース化は、全体の6割を超し、予定通りの進捗状況である。それを活用した研究会も常時20人以上の参加を得て、この研究プロジェクトは大阪における部落問題研究の中核的存在として注目されるようになってきている。さらに、この研究会の場を使い、研究の成果の中間発表をおこない、議論を深め、研究を進めていきたい
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今後の研究の推進方策 |
この同和事業関係の第1級の資料を活かし、従来の定説を越える研究を如何に構築していくのか、この点に着眼して、本研究の目的を達成していきたい。研究会には、科研の分担研究者に限定していないので、多様性な専門性をもった研究者や地元関係者、行政職員、教員が参加している。その利点を活かした研究を行っていきたい。 なお、データベースは、その資料の性格上、個人情報が含まれるものが多いため、プライバシー保護の観点から慎重な取り扱いが必要であるので、公表とプライバシー保護との二面を考えながら、研究者に活用してもらう方策も検討していきたい。
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