研究課題/領域番号 |
23330165
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 麗澤大学 |
研究代表者 |
黒須 里美 麗澤大学, 外国語学部, 教授 (20225296)
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キーワード | 歴史人口学 / ライフコース / 世帯 / イベントヒストリー分析 / 直系家族 / 東北 / 宗門・人別改帳 |
研究概要 |
本研究は近世から近代移行期における東北日本に着目し、二本松地方と村山地方に残存する良質な人口史料を利用することから、庶民の結婚、出生、死亡、移動を中心としたライフコースを比較分析し、直系家族システムにおける世帯と個人の人口学的行動とのつながりを明らかにすることを目的としている。初年度として研究拠点となる麗澤大学人口・家族史研究プロジェクト室に作業用のPCを設置し、具体的には以下の3点を中心に進めた。 (1)データ入力とデータベース構築:陸奥国安達郡南杉田村人別改帳の入力を開始した。開始後、移動情報が詳細で入力にかなりの時間と労力を要することが判明したため、本年度は世帯と個人の静態情報の入力から進めることにした。東北地域のデータベース構築については、中国清朝の長期ミクロデータを扱って分析を進めているUCLAのC. Campbell氏から煩雑な変数構築を効率化するためにSTATAを利用した方法のアドバイスを受け、本研究データ構築への適用を試みはじめた。効率化についてはDB2のSQLを利用してプログラミングする方法とともに今後も検討が必要である。 (2)比較分析の指標の検討:連携研究者による二本松地方の仁井田村と村山地方の山口村の人口と世帯に関する比較の試みをベースとして、本研究の目的である東北の太平洋側と日本海側の農村の比較の指標となる変数の検討を行った。宗門改帳と宗門人別改帳という違いはあるものの、人口・家族に関する詳細が比較可能であることが判明してきた。 (3)二本松藩内の比較分析:比較のもうひとつの軸である町場と農村という視点から、結婚や死亡構造をめぐる分析を行い学会で発表した。また結婚・離婚・再婚をめぐる比較については、連携研究者の協力を得て、これまでの成果をまとめて編著として刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
震災による影響で、年度はじめに散乱した資料整理に時間を要したこと、また節電の影響によって予定していた勤務時間を確保できなかったことから、データ入力とデータベース構築が計画よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
入力の効率化を工夫して年度はじめの遅れをとりもどし、当初の計画通り進める予定である。
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