研究実績の概要 |
本研究の目的は、近世から近代移行期における東北日本に着目し、人口史料を利用することから、庶民の結婚、出生、死亡、移動を中心としたライフコースを分析し、直系家族システムにおける世帯と個人の人口学的行動とのつながりを明らかにすることである。昨年度に引き続き、麗澤大学人口・家族史研究プロジェクト室を拠点として、具体的には以下の2点を中心に進めた。 (1)データ入力とデータベースの構築: 本科研スタートから継続してきた岩代国安達郡南杉田村1678~1870年宗門人別改帳の全入力とチェックを完了させた。さらに入力データの抽出とイベントのカテゴリー化を図り、分析ファイル作成のステップとした。さらに岩代国安達郡稲沢村(1801-1866年、内47年)、岩代国安積郡駒屋村(1692-1855年、内44年)の入力とチェックを進めた。また、東北地域5か村の長期データを統一した形式にまとめ、これまでのDB2を利用したリレーショナルデータベース方式から、より簡易にSTATAを利用して変数構築を行うシステムの開発を試みた。 (2)比較分析と成果発表:農村と在郷町の比較分析として、特に結婚・再婚への世帯と地域経済の影響に関するイベントヒストリー分析を進めた。また農村土地貸借と人口の関係のモデル化と分析を試みた。その成果は、同時代18-19世紀のヨーロッパと比較した出版(Lundh, Kurosu, et al. 2014)と、American Sociological Association (8月)、European Society of Economic History (9月)、Social Science History Association (11月)、2015年度4月予定のPopulation Association of Americaでの学会発表などである。
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