研究課題/領域番号 |
23330172
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研究機関 | 熊本学園大学 |
研究代表者 |
丸山 定巳 熊本学園大学, 社会福祉学部, 教授 (00039968)
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研究分担者 |
花田 昌宣 熊本学園大学, 社会福祉学部, 教授 (30271456)
宮北 隆志 熊本学園大学, 社会福祉学部, 教授 (50112404)
中地 重晴 熊本学園大学, 社会福祉学部, 教授 (50586849)
下地 明友 熊本学園大学, 社会福祉学部, 教授 (90128281)
原田 正純 熊本学園大学, 水俣学研究センター, 客員研究員 (00040519)
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キーワード | 水俣学 / 健康被害 / 公害 / 水俣病 / 社会的影響評価 |
研究概要 |
この研窄は、われわれの水俣学研究の経験と成果を応用して、水俣病の負の経験を明らかにし、将来に生かす教訓を国内外に発信する試みである。水俣病は発生の公式確認から56年を迎えているが、問題は山積している。水俣病特措法に基づく救済策や原因企業の分社化手続きが進められ、地域振興策も打ち出されている。その結果、これまで差別・偏見のかげに隠れていた被害者が表面化し、その総数は未だ公表されないものの少なく見積もっても5万人を超えている。 この現状を社会的影響評価という手法を援用して分析し、学際的研究組織において地元との協力の上で、定性的かつ定量的に、現状の問題点と今後の課題を明確に示していくことを研究課題とし、昨年度は夏まで研究打ち合わせを重ね、調査研究プログラムの遂行体制を作った。 調査・研究の実施に当たっては研究プロジェクトを四つの班に分け、現地密着型の調査研究を大学院生らを巻き込みながら実施した。 [医療と健康影響評価班]では、従棄の研究サーベイを踏まえて、定期的(月に二回)に水俣学現地研究センター(水俣市)を拠点に患者の検診・ヒアリングを行った。その一部は、連携研究者である田尻雅美、井上ゆかりが公衆衛生学会にて口頭報告を行った。[環境影響と地域構想班]は、水俣学現地研究センターを触媒とした水俣・芦北地域戦略プラットフォーム(地域の課題を検討する事業者、NPO、自治体関係者等の協働の場)をベースにした住民参加による地域づくりの検証・評価(参加行動型調査)に取り組み、月に一度の研究会を実施するとともにHIA(健康影響評価)に関する国内外の研究サーベイを踏まえた研究会を実施した。[社会影響・経済分析]班は、資料の収集ならびに被害者団体へのヒアリングを開始、継続中である。なお、9月に研究班合同で水俣現地での研究会ならびに患者ヒアリングを実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
水俣病特措法に基づく救済策の実施が被害救済体系の改変をもたらすとともに、中央省庁による地域づくりが急速に動き出したため、それへの対応に追われた。また医療研究班の研究分担者ならびに文化と価値変容班の責任者が病気療養に入り、現地調査の規模を縮小せざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に大幅な変更はなく、調書にそって進めて行く。本年12月に健康影響評価に関する国際会議を熊本学園大学で予定しており、本研究成果の一部を報告し、国際的な評価を受けるものとする。なお、研究分担者が病気療養で現地調査に参加できなくなったことから、足立明氏に関しては、連携研究者とし、メール等による議論を活用して、研究遂行に支障のないように対応する。
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